【月刊・白鵬】横綱が感動した羽生結弦「美しさの原点」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 こうして、私が照ノ富士をひとつリードした形で、優勝の行方はついに千秋楽の結びの一番まで持ち越されました。先に13勝2敗で終えた照ノ富士が見守る中、土俵上で待っていたのは、照ノ富士が所属する伊勢ヶ濱部屋の兄弟子、日馬富士との対戦です。

 私が勝てば優勝、もし敗れれば、照ノ富士との優勝決定戦となります。会場となる大阪府立体育館は、いやがうえにも盛り上がって、相撲は相譲らぬ闘いになりました。弟弟子の援護射撃という意味もあって、日馬富士も相当気合いが入っていました。長時間の熱戦となり、日馬富士はさまざまな手を繰り出してきて、その度に多くのファンのボルテージが上がっていくのもわかりました。

 けれども、私も負けるわけにはいきません。慎重に相撲をとって、最後は日馬富士を寄り切って勝利。苦労の末に、なんとか34回目の優勝を手にしました。これで、6場所連続優勝となりましたが、偉大な記録を刻んできたそれらの優勝とはまた違った喜びというか、感慨深いものがありましたね。

 さて、「優勝」と言えば、フィギュアスケートの羽生結弦選手が素晴らしかったですね。今シーズン(2014-2015)最後の公式戦、世界国別対抗戦でも男子シングルのショート、フリーで1位と、圧巻の演技を披露し、日本の3位表彰台獲得に貢献しました。

 彼には前々から注目していて、金メダルに輝いたソチ五輪はもちろん、あらゆる大会で奮闘する姿をずっと見てきました。そして先日、世界国別対抗戦では、ついにその姿を生で観戦する機会に恵まれました。緊張感高まる雰囲気の中、堂々と、なおかつ美しい滑りを見せる羽生選手には、本当に感動させられました。

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