【大相撲】打倒白鵬に燃える稀勢の里、豪栄道の秘策とは? (3ページ目)

  • 福留崇広●文 text by Fukutome Takahiro
  • photo by Kyodo News

 最近では碧山(あおいやま/田子ノ浦部屋)に立て続けに負けるなど、前半戦に取りこぼしが目立つ。苦手な相手になると緊張するのか、意識しすぎるのか、控えからまばたきが異常に多くなる。かつて白鵬は「稀勢の里は、気持ちが顔に出るからね」と評したことがある。目をパチパチする姿を見れば「固くなっているな」と見透かされ、勝負の前に白鵬に優位に立たれてしまっている。そんな集中できない日をなくすためにも、稽古場から地道な、しこなどの基本を繰り返すことで白鵬の独走を食い止め、悲願の初優勝を果たそうとしているのだ。

 一方の豪栄道は、稀勢の里以上に現状は深刻だ。昨年7月場所で大関昇進を決めたが、新大関として臨んだ9月場所は8勝7敗。続く11月場所では5勝10敗と信じられない大敗を喫し、昇進3場所目で早くもカド番に追い込まれた。

 初場所も12日目を終えて5勝7敗と崖っぷちに追い込まれたが、13日目から何とか3連勝して8勝7敗で関脇陥落は免れた。大関としての3場所を振り返り「今までは勝ってやろう!と思って土俵に上がっていましたが、大関になってからは勝たなくてはいけない、という気持ちになってしまった。考え方が攻めから守りに変わってしまっているんです」と心の内を正直に明かしてくれた。

 気持ちが守りに入ると、相手の取り口ばかりを考えてしまうという。右四つからの左前回しという必殺の型を持ちながら「相手の特徴や攻め方を考えて、それをどう封じるかばかりに頭が行ってしまうんです」と明かす。

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