【レスリング】吉田沙保里「お父さんに金メダルをかけてあげる」 (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●構成 text by Miyazaki Toshiya  根本好伸●撮影 photo by Nemoto Yoshinobu

――それは戦術の変更ですか?

吉田 吉田沙保里の最大の武器がタックルであることは変わりません。相手が私のタックルを恐れ、警戒しているからこそフェイントは効きますし、他の技も決まってくる。だから、タックルが基本ですが、組み技やグラウンドでの展開も勉強して練習していれば、レスリングの幅は広がります。そうなれば、もっと楽に勝てる試合も増えてくると思うんです。

 女子レスリングは次のリオデジャネイロオリンピックから、2階級増えて6階級になります。でも、私が今、戦っている53キロ級のすぐ上の55キロ級はオリンピック階級ではないので、オリンピック前の世界選手権では55キロ級の選手の半分ぐらいは階級を下げてくるでしょう。もしかしたら、1日で5試合、6試合戦わなければなりません。そうなったら、省エネ戦法も必要なんです。もう、おばちゃんですから(笑)。

――省エネ戦法なら、選手寿命も延びそう?

吉田 「結婚して金! ママでも金!」。やっちゃいますか(笑)?

――やはり、レスリングはお父様の吉田栄勝さんが言われていたように、「タックルを制する者が世界を制する」なんですね。

吉田 父は現役時代、「返しの吉田」と呼ばれていたそうです。鉄壁のディフェンスと冷静なカウンター攻撃で全日本チャンピオンになりましたが、あと一歩のところでモントリオールオリンピック(1976年)の出場を逃してしまいました。そんな父が自宅でレスリング教室を開き、子どもたちに教えるようになると、レスリングというスポーツでタックルがいかに重要かを説いて、来る日も来る日もタックルを教え込んで反復させました。

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