「2足のわらじ」がパラリンピアンにもたらす、相乗効果とは (2ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 昨年5月、世界トライアスロンシリーズ横浜大会のパラ部門に初出場し、ロードレーサーを使用する障害クラスで12位。その後も国内外の大会に出場し、9月にカナダ・エドモントンで開催された世界トライアスロン選手権グランドファイナル・オープンパラ部門では優勝。

 競技をサポートしてくれる人たちへの恩返しはやはりパラリンピックのメダルしかないと考える佐藤は、本格的に夏季パラリンピックを目指すことを心に誓った。リオパラリンピックの出場権がかかる今年は、ワールドカップの転戦終了後から、トライアスロンに比重を置くことを決めている。

 佐藤にとって夏季競技への挑戦は、あくまでもスキーの延長線上だが、「トライアスロンの大会に出場するようになり、スキーの技術練習の時間がどうしても減ってしまった。ワールドカップ旭川大会はウクライナやベラルーシなど強豪が出場していないから手放しで喜べないけれど、例年より順位が落ちなかったことは今後に向けて好材料になった」と語った。

 ナショナルチームの荒井秀樹監督も「トライアスロンで心肺機能が上がっている。ラストスパートも粘れるようになった」と、その相乗効果を認めている。

 2020年の自国開催のパラリンピック出場も視野に、佐藤は"2足のわらじ"を続けていくつもりだ。

 ソチパラリンピックのバイアスロン7.5kmで銅メダルを獲得した久保恒造(日立ソリューションズ)は、ソチ大会終了後、2001年から取り組んでいた車椅子マラソンに専念し、リオ大会の日本代表を目指すことを表明した。

「ソチ大会以降、陸上競技一色の生活。メダルを振り返る余裕はなかったですね」と、この1年間を振り返る。

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