【フェンシング】宮脇花綸「チャンスを今後につなげて行きたい」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 とにかく今は、ひとつでも多く勝ち上がって強い選手と対戦したいという宮脇。そうやって経験を積み重ねていけば、自然に体力やスピードもついてくるだろう。自分が確実にポイントを取れるような得意技も見つかるに違いない。太田雄貴には「出る試合は全部勝て」と言われたという。そんな強い気持ちを持ち続けることも必要だ。

 最大の目標は、2020年東京五輪における個人戦と団体戦。そこで結果を出すためにも、宮脇は「2016年リオデジャネイロ五輪にはどうしても出場したい」と言う。

 それには、世界ランキングを上げていかなければいけない。宮脇は現在(11月4日時点)、世界ジュニアランキングこそ3位だが、シニアランキングは55位。日本勢では、世界ランク34位の西岡詩穂(25歳)、同47位の柳岡はるか(19歳)に次ぐ、3番手となる。五輪代表の座を確実にするためには、今後も結果を出し続けて、世界ランクをひとつでも上に上げていくことが重要になるだろう。(おおよそ世界ランキング20位台)

 ところで、フェンシング選手であるとともに、高校生でもある宮脇。学業との両立はできているのだろうか。

「最初は大丈夫だろう、と思っていたんです。でも、今は(フェンシングと)学校との両立にすごく苦労しています。海外遠征などで、学校に行けないことが多くなってきて......。授業中に理解していくタイプなので、授業に出られないというのはつらいですね。遠征から帰ってきたらすぐに試験があって、試験が終わった翌日に海外遠征に出発することもありました」

 遠征がなくても、学校の授業を終えると、ナショナルトレーニングセンターに直行。練習の日々である。勉強はおろか、遊ぶ時間もない。

「でも、忙しい日々でも、フェンシングだけではなく何か趣味を持ちたいと思って、高校1年生のときからはドラムを始めたんです。月に4時間のレッスンを受けているんですよ。少しでも時間が空けば、遊びを詰め込みます(笑)。先日も練習が休みの日に、フェンシングの仲間たちとディズニーランドに行ってきました。次の休みの日にも、学校の友だちと焼肉を食べに行こうって計画しているんです。そうした"オンとオフ"は、結構バランスよくやっているほうだと思います」

 フェンシングに限らず、勉強にも、遊びにも、全力を尽くしている宮脇。そのエネルギーこそが、彼女を成長させる原動力となっているのだろう。6年後、日本の女子フェンシング界にも、五輪メダルをもたらしてくれることを期待したい。

【プロフィール】
宮脇花綸(みやわき かりん)
1997年2月4日(17歳)、東京都出身。現在、慶応女子高に通う現役高校生。5歳からフェンシングを始め、中学生のころから頭角を現し始める。今年7月に行なわれたユース五輪では銀メダルを獲得し注目された。

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