2014.10.26

世界のトレンドからいけば国立競技場は「改修」である

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO SPORTS

 日本では、さいたまスタジアム、横浜国際競技場(日産スタジアム)が、郊外型の代表になるが、こうした場所に、ザハ・ハディッド案の新国立競技場が建設されるのなら何も問題ない。建物として価値あるものになるだろうが、神宮外苑にはそぐわない。まさに異物になる。スタジアムは一度建てられたら、最低でも半世紀は、その場にドカンと鎮座することになる。東京の良心がひとつ失われることになる。五輪を開催する代償として。「さよなら国立競技場」は、「さよなら神宮外苑」と同義になってしまうのだ。

 建築家が設計する建造物は、コンペで決まるのが習わしだ。このザハ・ハディッド案も、その結果、最優秀作品賞に輝いたものである。だが、国立競技場にその方法は相応しいのだろうか。民間の建物はそれでいいかもしれないが、日本の象徴となるナショナルスタジアムにその方法は適切なのか。国民的な議論もないまま、一部の人たちだけで決めてしまっていいものなのか。

 景観以外にも、問題はいくつもある。

 新国立競技場は開閉式のドーム型スタジアムだ。現国立競技場との一番の違いになる。理由は、コンサートなどスポーツ以外のイベントを数多く行ないたいからだ。現在の国立競技場も嵐やももクロなどがコンサートを開き、盛況を博していたが、この手のものは天候などに影響されない屋内の方がやりやすい。都心のド真ん中にある神宮外苑の立地を考えれば、需要の伸びも期待できる。

 開閉式ドームには、使用率を上げようという狙いがある。だが、それをすればするほど芝のピッチは傷む。養生には手が掛かる。肝心のスポーツに影響が出る恐れがある。芝が命のサッカーはとりわけだ。

 それを避けようとすれば、札幌ドームのような、移動式ピッチにする必要がある。芝のピッチを使用しない時は、屋外に出し、芝に風と光を当てる方法にしなければならないが、国立競技場周辺にはそれだけのスペースはない。それは、無い物ねだりになる。