【レスリング】4連覇するも吉田沙保里「やっぱり中国は強敵」 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●構成・文 text by Miyazaki Toshiya photo by AFLO

「試合の入り方も良くなかったですし、相手に研究されていましたね。一瞬でも『ダメだ!』と思ったら、やられていました。やっぱり、中国は強敵です」

 初戦でまさかの苦しい展開に追い込まれた吉田は、試合後にそう振り返った。

 ただ、難敵の中国を撃破した吉田は、パン・ティ・ロアン(ベトナム)との2回戦を38秒でフォール勝ち。準決勝はインドのバビタ・クマリ相手に14-4のテクニカルフォール勝ちを収め、決勝戦のビャムバチェレン・スンデフ(モンゴル)も12-1の圧勝で退けた。レスリング史上初の大会4連覇を達成した吉田は、笑顔で4本指を突き出し、アジア大会V4を自ら祝福した。

 そんな明るい話題が続く中、唯一、厳しい結果となったのが、75キロ級の浜口だ。他の3選手と違って世界選手権には出場せず、満を持して挑んだアジア大会。個人戦としては、2012年ロンドン五輪以来の国際大会出場となるため、大きな期待が寄せられていた。

 だが、初戦で迎えた中国・周風を相手に、浜口は攻め手を欠く試合展開。結局、接戦を打開できぬまま、1-2で惜敗を喫した。中国に敗れた浜口は、銅メダルをかけた3位決定戦でもモンゴルのブルマー・オチルバトに敗退。メダルを手にできぬまま、アジア大会を終えた。

 1987年に女子レスリングがスタートしてから、常にライバル関係にあり、何度も日本を倒さんと挑んできた中国。それでも日本は、今大会でも4階級中金メダルを3個奪取し、アジアナンバー1の座を死守した。だが、中国の「打倒・日本」の火が消えたわけではない。むしろ今回の日本選手との接戦を受けて、ますますその火は燃え上がるだろう。リオデジャネイロ五輪の第1次予選を兼ねた来年の世界選手権、そしてオリンピック本番に向けて、虎視眈々と「打倒・日本」を狙う中国の存在は要注意だ。

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