フェンシング界に勢いを取り戻す「金メダル獲得」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Tsukida Jun

 24日の団体戦1回戦。シードになった日本は準々決勝で格下のタイと当たり、失点は10点だけの45対10で圧勝した。

 そして韓国との準決勝では「韓国は10点差を付けると気持ちが切れるので、いつも前半勝負にしている。1巡目で5~6点差を付けて、2巡目で勝負するつもりだった」と太田が言うように、最初の太田が5対2とリードを奪った。2番手の三宅諒が1ポイントも与えず5点を連取して10対2に。3番手の千田健太は相手に6点取られながらもその差を7点に保って2巡目に回すと、次の三宅が9点差に開き、太田が13点差にして勝負を決めた。最後は気の緩みから韓国に連続得点を許したが、結局45対29で思惑通りの勝利をあげた。

 だがその夜に行なわれた中国との決勝では出足でつまずいた。一番手の千田は相手の速い攻撃に対応できず、1対5とリードを許す。2番手の太田は3点を取ったが相手に5点を取られて4対10。そして3番手の三宅も1点を取っただけで5対15と10点差をつけられた。

「あの時は僕も含めて勝てると思わなかったし、厳しいなという感じでした。でもそれまでは攻撃的に出てポイントを取られるという相手の術中にはまっていたので、そこからは攻撃的ではあるけどじっくり待って相手のミスを突くという作戦に変更しました」(太田)

 一時は4番手の千田は途中で11点差まで開かれる場面がありながらも、作戦変更はうまく当たり、8点差に挽回する粘りを見せ、三宅もキレのいい動きを取り戻して6対5と粘り、得点差を7点に詰めた。そして太田が世界ランキング1位で今大会個人戦優勝の馬剣飛を相手に、鮮やかな逆転劇を演じた。

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