2014.09.17

【月刊・白鵬】新大関・豪栄道には「足りないものがある」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 35歳にして新関脇に昇進した豪風関も素晴らしい活躍を見せています。身長171cmと決して体格には恵まれていないのですが、思い切りのいい取り口で相手をかく乱。今場所もキレのある相撲で勝ち星を重ねています。

 最大の良さは、自己管理が徹底していること。加えて、研究熱心でもあります。だからこそ、35歳を迎えてもなお、強くなっているのでしょう。こうした先輩力士たちのがんばりにも、私は大いに刺激を受けています。

 さて、今場所は大関に昇進した豪栄道にも注目しています。彼はもともと力のある力士です。それは、2年もの間、関脇の地位を保っていたことでも証明されていると思います。しかし、これまで"何か"が足りなかった。なおかつ、自分なりの相撲の形を持っていながら、あっけない負け方を喫するなど、安定感に欠ける部分がありました。それが、なかなか大関昇進につながらなかった要因でもあります。

 ついに大関昇進を果たしましたが、豪栄道はまだ"何か"を得られていないと思います。安定感という意味でも、必ずしも磐石とは言えません。大関という地位では常にふた桁勝利を求められます。それだけに、豪栄道はこれから一層の努力が必要でしょう。そして、もっともっと気を引き締めて戦っていかなければいけません。

 ともあれ、名古屋場所の13日目には左ヒザを痛めるというアクシデントがありながら、千秋楽で勝利をもぎとって、大関の座を手に入れました。逆境を迎えたときこそ、力を発揮できるのは、彼の強みです。精神的に強い力士ですから、今場所も大いに盛り上げてほしいですし、大関以上の力士には必要な"何か"を見つけ出して、今後のさらなる飛躍を期待したいところです。

 先場所で30回目の優勝を達成することができた私は、これからも一番、一番を大切にして、いい結果を出せればと思っています。周囲からは「次は千代の富士関の31回だ」「その次は大鵬関の32回だ」などとハッパをかけられますが、そうした数字はあまり意識しないようにしています。先場所、先々場所では、「30回」という数字を知らず知らずのうちに意識して苦しんだのでなおさらです。何より、自分を見失わないこと、己に打ち勝つこと、というのを肝に銘じて、目の前の一番に全力を尽くしていきたいと思います。

 ところで、「スポーツの秋」と言われるだけあって、あらゆるスポーツが盛り上がりを見せていますね。プロ野球は佳境を迎え、サッカーの日本代表もアギーレ監督を招聘して新たな一歩を踏み出しました。これからがますます楽しみです。

 そして、忘れてはいけないのが、テニスの錦織圭選手です。全米オープンでは、準決勝で第1シードのジョコビッチ選手を破って、見事決勝進出を果たしました。最終的には準優勝に終わりましたが、世界の大舞台で日本人選手が活躍するというのは、本当にうれしいことですね。テニス界だけでなく、多くの日本人アスリートにいい刺激を与えたのではないでしょうか。

 また、韓国・仁川でアジア大会が開催されます(9月19日~10月4日※サッカーは9月14日からスタート)。各競技の選手にとっては、2年後のリオデジャネイロ五輪へ向けて、その行方を推し量るうえでも、重要な大会となりそうです。大会に挑む選手たちには、ここで自信をつけたり、結果を残したりして、五輪へのいいステップにしてほしいですね。

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