【月刊・白鵬】横綱がはまった「スポーツ漫画」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 迎えた千秋楽。まず、高安が敗れて脱落。優勝を争う相手は、直接対決する2敗の琴奨菊と3敗の豪栄道のふたりに絞られました。私はもちろんのこと、誰もがその一番に注目していました。しかもその日の朝、豪栄道が勝って12勝すれば、場所後に大関昇進という審判部の方針が明らかになったことで、一層注目度が増しました。

 結果は、大関昇進がかかった豪栄道が奮起して勝利。豪栄道と琴奨菊が3敗で並んで、結びの一番で私が敗れれば、3人による優勝決定戦に持ち込まれる状況となりました。おかげで、私が土俵に上がるまでの間は、そんな展開を期待するムードが館内に漂っていましたね。

 実際、私自身「優勝決定巴戦になるかもしれない......」という不安を抱えていました。土俵下で前の取組みを見ている間は、少なからず緊張していたと思います。

 しかし、こうしたもつれたシチュエーションは、私にとって初めての経験ではありません。土俵に上がったときには、「落ち着いていけば大丈夫」と自分に言い聞かせて、自分を信じて相撲を取った結果、日馬富士に勝利。30回目の優勝を飾ることができました。

 その瞬間、心底ホッとしたのと同時に、自分は本当に幸せ者だな、と思いましたね。

 話は変わりますが、このところ、じわじわと相撲人気が高まってきたこともあってか、この4月から『暴れん坊力士!! 松太郎』(テレビ朝日系)という相撲アニメがテレビで放送されるようになりました。かつて、漫画雑誌『ビッグコミック』(小学館)に連載されていた、ちばてつや氏原作の相撲ヒーロー漫画『のたり松太郎』をアニメ化したものだそうです。

 内容は、破天荒な青年・松太郎が、ひょんなことから相撲部屋に入門。相撲界でいろいろなことを経験しながら、一人前の力士に成長していくストーリーです。主人公の松太郎はまさしく型破りな人間なんですが、非常に魅力的なキャラクターで、なかなか面白いアニメなんですよ。

 日本では、漫画やアニメの影響を受けて、スポーツを始める子どもが結構いると聞いています。それで最近は、この『暴れん坊力士!! 松太郎』を見て、相撲を始めてくれる子どもたちが増えてくれたらいいな、なんて思っています。

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