2014.07.21

5度目のツール・ド・フランス参戦。新城幸也「自然体の走り」

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki 飯島美和●撮影 photo by Iijima Miwa

 つまり、過去4回のように序盤でアタックして先頭集団に加わるなどの派手な動きはないが、チームには総合成績の上位を狙うエースのピエール・ローラン、スプリント勝負で区間勝利をねらうブライアン・コカールがいて、新城にはその「アシスト」としての重要な任務が与えられているのである。エースはなかなか成績を上げられていないが、朝のミーティングで指示されたことを新城は確実にこなしている。

「強い選手のアシストとして走るのは楽しい。それに出場はまだ5回目ですよ。ツール・ド・フランスには10回出たいと当初から言っていますが、それだけ出ればチャンスはいつかめぐってくる。チャンスをものにするのはボクかもしれないし、チームメートの総合成績かもしれない」

フランスでの人気も高い新城。チームに欠かせない選手のひとりとなっている 平均時速がこれまで以上に速いのが2014年ツール・ド・フランスの特徴だ。その中で、新城はレース中盤にメイン集団の先頭に出てペースメークしたり、ゴール勝負の牽引(けんいん)役をしたりと獅子奮迅の活躍を見せている。

 記録の上では区間勝利にはまだ手が届いていない。それでも総合1位の選手が着用するマイヨジョーヌらの集団と同じ位置でアルプスの難関を上がってくるのだから、その総合力は日本の中ではずば抜けている。

 2014年の大会は波乱含みで、多くの選手がクラッシュをしてレースを去って行った。総合優勝最有力と目されていたフルームやコンタドールもリタイアしている。

「彼らが棄権したのは残念で大会がさみしくなってしまった。強豪選手がいなくなったからといっても、ツール・ド・フランスで勝つのは難しい。誰が勝ってもおかしくないような強い選手ばかりなので」

 アルプスの山岳初日となる第13ステージで、新城は序盤からアタック合戦に加わった。しかし逃げ切れない。

「連日チームメートが果敢に攻めて働いていたから、今日は自分の出番だと思った。逃げに入りたかったけど、何度もチャレンジしてうまく決まらなかった。ツールで逃げることは難しくなっている」