【月刊・白鵬】横綱がメッシのMVPを喜んだワケ (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 さて、名古屋場所前の6月、私は北海道に飛んで恒例となっている『白鵬米』の田植えをしたり、滋賀県長浜で所属する宮城野部屋の合宿を張ったりしていました。

 場所中の15日間、私はほぼ同じペースで一日を過ごします。相撲を取る18時前頃にピークの状態を迎えるように逆算して、自分の心と体を高めていく準備を日々重ねています。普段は仲間と一緒にワイワイ飲むのが好きですが、場所中は一切、アルコールも口にしません。とにかく15日間、相撲に集中することに専念し、ストイックに過ごしています。

 それゆえ、場所が終わったあと、地方のいろいろな土地に出向いて、素晴らしい風景を見たり、さまざまな人々と触れ合ったりするのが、とても楽しみです。それが、私の心身を存分にリフレッシュしてくれるからです。

 よって、北海道で田植えをして気分が爽快になりましたし、長浜の合宿でも地元ファンの声援を受けて、すごく元気をもらいました。とりわけ長浜の合宿では、充実した稽古をつめました。加えて、夜は特産の近江牛や鮎などをいただきながら、美味しいお酒も存分に味わわせていただきました。体を鍛えながらリフレッシュもできて、本当にいい時間が過ごせたな、と思っています。

 一方、横綱・日馬富士や、35歳で三役(小結)に復帰した安美錦らが所属する伊勢ヶ濱部屋も、場所前に大阪で合宿を張ったそうです。朝、夕2回の稽古をこなすなど、精力的に地力強化を図ってきたようです。特に、今年に入ってからまだ優勝のない日馬富士は、「次こそは」と懸命な稽古を重ねていたと聞いています。

 私も長浜での合宿を終えて名古屋入りしてからは、積極的に出稽古に出掛けました。モンゴル出身の大先輩・旭天鵬関がいる友綱部屋をはじめ、関脇・豪栄道が所属する境川部屋、千代鳳ら生きのいい若手力士がそろう九重部屋に出向いて、自分なりに相撲の感触を確かめてきました。

 調子は先場所と変わることはありません。まずまずといったところですが、名古屋場所の期間中は、厳しい暑さに加え、湿度の高い日が続きます。体調管理に心がけて、15日間、しっかりと戦い抜きたいと思います。優勝回数については、頭の片隅に置いて、何より自分の相撲を一番、一番、大事に取っていきたいと思います。

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