【月刊・白鵬】世界で躍動する田中将大と松山英樹の「魅力」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 まずマー君は、やはり"ただ者"ではなかったですね。メジャー初登板でいきなり勝利を飾ると、積み上げた勝利はすでに11勝。アメリカン・リーグ、ナショナル・リーグの両リーグ合わせてトップの成績で(6月25日現在)、「素晴らしい!」のひと言しかありません。もはや、世界中に「田中将大」の名を知らしめたと言ってもいいのではないでしょうか。

 昨シーズンは、楽天イーグルスで24勝(無敗)という快挙を達成。パ・リーグ制覇の立役者となると、日本シリーズでも、巨人相手に圧巻の投球を見せて、チームを日本一に導きました。

 そうした華々しい実績を引っ提げてのメジャー入り。現地での注目度や期待度も半端なものではないと思っていたので、「マー君が受ける重圧は相当なものだろうな」と、実はちょっと心配していました。

 しかしそんな不安をよそに、マー君は実に淡々と、メジャーの舞台でも自分のピッチングを披露。決して偉ぶることなく、マー君の謙虚で一生懸命な姿勢は、早くもニューヨークのファンの心をつかんだような気がします。そして、チームメイトや監督からの信頼はかなり厚いのではないでしょうか。

 ヤンキースファンの私は、時間さえあれば、必ずテレビ中継を見ていますが、マー君はメジャーに行って、さらに肉体面の強化が図られた印象があります。骨盤が張っていて、下半身がよりしっかりしてきました。そして、背骨に真の力が備わってきた感があります。だから、ピッチングにブレがない。何にしても、あの足腰は"超一流"のモノだと思いますよ。

 一方、ザ・メモリアルトーナメントで米ツアー初勝利を飾った松山選手も、素晴らしかったですね。

 聞くところによると、松山選手はちょっと"天然"なところがあるとか。でも、プレイになると、ものすごい集中力を見せます。その姿を見て、以前、ダルビッシュ有投手(レンジャーズ)が、あるテレビ番組で言っていたことを思い出しました。

 それは、マウンドに立って戦っている自分と、それを見ている素の自分と、「僕にはふたりの自分がいる」という話でした。おそらく、成功しているスポーツ選手というのは皆、そんなふたりの"自分"がいて、それをうまく使い分けることができているのではないでしょうか。

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