バドミントン男子を襲った「世界一」ゆえの試練 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 また、「トマス杯優勝というプレッシャーの中で4試合できたというのは成長していると思うけど、みんなはそこで勝つのを見たいと思っているだろうし。そういう期待に応えられるように頑張っていきたい」と話した。

 世界ランキング4位というポジションから見れば、田児の結果は妥当とも言える。だがそれでも、世界トップのリー・チョンウェイに、これで対戦成績を1勝17敗とされた差は大きい。これからの課題はそれらをどう埋めていくのかになる。

「今回の日本の男子は、団体戦といえど世界一になり、しかも準決勝で中国を3対0で破ったあとの大会だったから苦しかったと思います。でも個人的には、これまでずっと世界で勝つことを意識してきたし、世界一になった限り、次は2位では満足してもらえないというのもわかっているから……。正直プレッシャーはあったけど、中国勢やリー・チョンウェイなどのトップ選手はそういう状況におかれてもしっかり勝っているわけで。その意味では僕たちも初めてそういう立場に立てたのは、貴重なことだと思っています」(田児)

 田児は「リー・チョンウェイのいない大会でもいいから、スーパーシリーズ(※)で1勝したいですね」と笑いながら言う。

(※)オリンピックや世界選手権に次いで重要な、世界バドミントン連盟が開催している年間トーナメント試合

「コートの中でのリー・チョンウェイはスピードも経験も違うし、立っているだけで醸しだされるオーラもすごいんです。でも、2~3年前はそのオーラを見た時点で勝負がついてしまっていたけど、最近はそのオーラがすごいと思いながらも、自分の中でしっかり整理して勝負できるような気持ちになっているので。まずは調子が落ちて波が下がった時でも、キッチリとそれなりの結果を出し続けていくことが重要だと思いますね」

 初めての世界一を経験した男子チームと田児にとって、このヨネックスジャパンオープンは、それぞれの頂点を狙う気持ちを確かめる、第一歩の試合になったはずだ。

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