【月刊・白鵬】初めて対決した話題の「遠藤」を横綱はどう見たか (3ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 この3年間、私は被災地のみなさんのことをずっと考えていました。私にできることは何か? ということを考えて、慰問活動を続けてきましたし、相撲では横綱らしい強さを見せることが大切だと思ってやってきました。だからこそ、迎えた一番でも、被災地の方々に何より“白鵬らしい”、強い横綱だと思ってもらえるような相撲を見せられれば、ということだけを考えていました。

 結果、遠藤を送り倒しで下すことができました。3月11日という忘れ得ぬ大事な日に、話題の遠藤に、それも横綱相撲で勝てたことは、本当に満足しています。

 遠藤とは今後、対戦する機会が増えるでしょう。これからも彼の動向には注目して、対決する日を楽しみにしたいと思います。

 話はガラッと変わって、今年も私が主催する子どもの相撲大会「白鵬杯」が2月2日に行なわれました。4回目を迎えた今回は、初めて両国国技館で開催することができたので、感慨深いものがありましたね。

 おかげで、大会も大いに盛り上がりました。日本をはじめ、モンゴル、韓国、中国から300人以上の子どもたちが集結。小・中学生の各年代別に熱戦が繰り広げられました。見応えのある相撲も多く、あちこちで歓声が起こり、会場は熱気に包まれていました。

 私の故郷、モンゴルのチームも奮闘してくれました。モンゴルでの地区大会を勝ち抜いてきた9人の小、中学生が来日し、個人戦、団体戦に出場。それぞれで素晴らしい相撲を見せてくれました。

 実は大会前、彼らは私が所属する宮城野部屋で稽古を行ないました。したがって、本来ならば休養に入っているはずの私も、休みを返上して、彼らと一緒に稽古するはめになりました(笑)。胸も出して、彼らの練習相手を務めたんですよ。

 とはいえ、少年たちのキラキラした目を見ていると、場所後の疲れもすぐに吹っ飛んでいましたね。いつの間にか真剣になって、少年たちと一緒に汗を流すことで、とても心地よい気分になりました。

 何はともあれ、相撲をやる子どもたちは、日本の宝だと思います。そのためにも、「白鵬杯」はずっと続けていきたいと思っています。そして将来、「白鵬杯」を経験した子どもたちの中から、遠藤のような力士がたくさん出てきてくれることを願っています。

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