大幅な「選手移動」も!? 女子カーリング界は新たな戦国時代へ (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by AFLO SPORT

 というのも、4連覇を果たした中部電力は、結婚報道で騒がれた主将の市川美余が来季の展望や進退については明言していないし、五輪代表の北海道銀行も、苫米地美智子が地元の岩手県で新チームを結成するといった報道があり、新加入メンバーを含めた新体制の行方が流動的だからだ。それぞれ企業を母体としているだけに、この年度末か来年度頭、あるいはJCA(日本カーリング協会)に新シーズンの選手登録を申請する5月までには何らかの発表があるはずと、その動向に注目が集まっている。

 また、江田茜が退部して今大会は4人体制で3位に滑り込んだロコ・ソラーレ北見も、主将の本橋麻里がチーム存続を表明したうえで、「メンバーの変更も考えている」とコメント。日本選手権4位となり、メンバー全員が卒業する札幌国際大の選手をリクルートする可能性もある。

 そんな日本のトップチームの再編成が予想される中、4年後の平昌(ピョンチャン)五輪を目指す、今後の女子カーリング界の争いについて、石崎氏は次のような見解を示した。

「いずれにしても、来季以降は、大幅な選手の入れ替えがなさそうな北海道銀行が本命になると思います。小笠原(歩)選手、船山(弓枝)選手という軸は心強い存在。そのうえで、ソチ五輪で高いところを経験して『ここが足りない』『ここが通用する』という欲が出てきた、吉田(知那美)選手や小野寺(佳歩)選手はさらなる成長が見込めます。中部電力は、現メンバーのまま平昌五輪を目指すのであれば十分に期待できると思います。しかし、他のチームも含めて、イチからチームを作り直すような状況になると、北海道銀行の"一強時代"になる可能性もあります」

 ちょうど4年前、2010年バンクーバー五輪直後の日本選手権が終わると、優勝したチーム青森から、本橋が脱退。新チームのロコ・ソラーレ北見を立ち上げた。それに続いて、現役復帰を果たした小笠原と船山が北海道銀行フォルティウスを結成した。さらに、日本選手権2位の常呂高のメンバーは全員が札幌国際大に進学して地力強化を図り、2009年に創部した中部電力も日本選手権3位となってメキメキと力をつけてきていた。以来、女子カーリング界は戦国時代に突入し、高いレベルにあるチームが切磋琢磨して日本カーリング界のレベルアップに貢献。今回のソチ五輪5位という過去最高成績につながった。

 はたして、来季から女子カーリング界は新たな戦国時代に突入するのか。そしてそれが、4年後の平昌五輪で「メダル獲得」というカーリング界の悲願につながるのか。まずは、各チームの再編成の行方を見守りたい。

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