2014.03.03

【カーリング】「カーママ」がわずか3年で結果を出せた理由

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

 ひとつは、まさしくチームをけん引する、小笠原と船山の"成熟"だ。

 カーリングは、緻密な戦術の上に成り立つゲームで「氷上のチェス」と称されている。同時に「年齢を重ねるごとに強くなる競技」とも言われる。一投ごとに変わるゲーム展開を読むには、知識と経験が不可欠だ。プレッシャーのかかる中でのショットは確かな技術はもちろん、人生経験の中で培ってきた強いメンタルが求められる。

 かつて2度の五輪(2002年ソルトレークシティ、2006年トリノ)に出場している小笠原と船山は、その後、結婚して出産も経験した。そこで、競技の中だけでは得られない、さまざまなことを体験してきた。たくさんの苦労や困難もあっただろうが、それを乗り越えてきた。人間として、ひと回りもふた回りも大きくなって戻ってきたのだ。「それが、競技者としてのレベルも上げた」と、代表コーチのフジ・ロイ・ミキ氏は言う。

「カーリングで結果を出すためには、競技者としても、人間としても"成熟"が不可欠。そういう意味では、以前は『20代の女の子』に過ぎなかった歩と弓枝も、結婚と出産を経験して、間違いなく"成熟"していた。それが、アイスの上でもしっかりと生かされていた。そして今回、3度目となるソチ五輪を経験。彼女たちはこれから、ますます良くなる可能性がある」

 ふたつ目は、日本女子代表の北海道銀行が活動する北海道・札幌の、カーリングを行なう環境が整備されたことにある。

 まず、2011年に北海道銀行カーリング部が創部し、翌2012年の秋には、通年の『どうぎんカーリングスタジアム』が完成。夏場などシーズンオフの間でも、アイス上でのトレーニングが可能になったのだ。

 そして2013年の夏には、北海道のカーリング女子選手の強化を目的とした『北海道女子カーリングアカデミー』が開校。それにともなって、カナダのジュニア代表を率いて世界王者となったジェームス・ダグラス・リンド氏が、指導者として招聘された。北海道銀行の面々も彼の指導を受けて、個人練習を強化。それが、チームの戦術の幅を広げた。