【月刊・白鵬】横綱が涙した、ソチ五輪の「名シーン」 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 葛西選手の姿は、私の大先輩、モンゴル出身力士のパイオニアで、今年40歳を迎える旭天鵬関と重なるものがありました。

 1992年、6人のモンゴルの仲間とともに大相撲界に入門した旭天鵬関は、今年で力士生活23年目。こつこつと努力を重ねて、一昨年には、なんと37歳8カ月という史上最年長記録で幕内優勝を飾りました。

 そんな旭天鵬関をはじめ、引退した旭鷲山関がモンゴル人力士の道を開いてくれたからこそ、後輩の私たちは力士にもなれて、今ある地位を築けたわけです。だから、旭天鵬関が優勝した夜は、後輩のモンゴル人力士が旭天鵬関のもとに全員集まって祝杯を挙げました。実は、葛西選手が銀メダルを決めたあと、日本の選手団がみんなワーッと葛西選手のもとに集まって祝福する姿を見て、そのときのことを思い出しました。その分、あのシーンを見たときは、余計に感動しましたね。

 旭天鵬関は、40歳を迎えた今年も幕内を維持するという目標を持っているそうです。見習うべきは、日々の稽古、特に基本運動を大切にしていることです。長く第一線で活躍し続けるには、そうした地道な稽古、練習が大事だということ。おそらく、葛西選手もそうなのでしょう。そんな偉大なる先輩アスリートの姿を見て、私も改めて基本を大切にして、がんばらなければいけないな、と痛感させられました。

 何にしても、若い選手の活躍や涙、ベテラン選手の奮闘など、今回も「ザ・オリンピック」というものを存分に堪能し、たくさんの感動をもらいました。選手のみなさん、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございます。

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