スノボ竹内智香、18年分の思いがつまった銀メダル (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Sanuki Naoya/JMPA

「練習は大回転と回転を半々でやっていましたけど、板の決まっている大回転では攻める練習ができても、回転はテストのため、攻めの滑りではなく、データを取るためのコンスタントな滑りしかできなかったんです。大回転の板は07年から11年まで開発を続けていた実績もあったのですが、回転の方はソチでの実施決定が遅かったこともあって、そこの差が今シーズンの結果にもなっているのだと思います」

 こう話す竹内は、日本ではまだ歴史の浅いアルペンスノーボードで、日本人がまったく勝てないころからキャリアをスタートした選手だ。

回転では決勝トーナメント1回戦敗退だった回転では決勝トーナメント1回戦敗退だった「競技を始めてから18年間、スイス代表チームに入れてもらったり、自分からコーチの指導を申し込んだりしてやってきましたけど、世界のトップに来るまですごい時間がかかった......。今回は本当に勝てるチャンスだと思っていました。4年後はどうなっているかわからないから、絶対に(メダルを)手に入れたいと思っていました」

 その執念が大回転での銀メダル獲得につながったといえる。竹内は「今回メダルを獲ったことで、アルペンスノーボードが、他のメジャーな競技と同じように、5年後、10年後にもっと注目してもらえるようになれば大満足です」と話す。

 回転が終わった翌日、ジャパンハウスでのメダリスト会見に出席した竹内は、「大回転ではW杯と同じミスをして最後に敗れてしまったのが悔しかった。でも、メダルセレモニーで銀メダルをもらってからは、支えてくれたスタッフや応援してくれた人たちの笑顔を見ることができました。日本のいい時間帯にテレビ放映があり多くの人たちにアルペンスボーボードのことを知ってもらえたと思うと、大きな喜びを感じる」と今の心境を吐露した。

 フェリックス・スタドラーコーチやスタッフとの今後の契約は、ソチだけを目指してやってきていたこともあり、まだ白紙の状態だ。この後、スタッフで話し合いをして方針を決めるが、これまでの4年間と同じような競技環境が整わなければ現役を退くことも考えているという。

「この4年間でどういう環境で過ごして、どういうことをやってくれば勝てるようになるかというのがわかったので、そういう環境が整うようなら4年後を目指したいと思うし、今以上のことができないようであれば辞めると思います。後輩を育てるための力になりたいと思っているから、競技を続けて次の世代に引き継いでもらいたいという気持ちもある。だけど、中途半端に続けることは応援してくれる人やスポンサーに対しても良くないので、やるなら本気でやる、やらないならやらないとハッキリ決めたいです」

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