【スピードスケート】小平奈緒「スケート靴と親友になれなくて......」

  • 取材・文●折山淑美 text by Oriyama Toshimi
  • photo by YUTAKA/AFLOSPORT

 小平の滑走は最後から2組目の第17組。その後には今季絶好調の李相花(イ・サンファ/韓国)がいた。

 ところがレースが始まると、製氷前の前半グループで、中国のチャン・ホンが37秒58、後半にはオルガ・ファトクリナ(ロシア)が37秒57の記録を出し、予想外に好記録が続出。それが小平の体を固くしたのか、もうひとつしなやかな伸びに欠け、37秒88の7位発進となった。

 追い込まれた小平は、橋本聖子団長と結城コーチから「思い切っていけばいい」と声を掛けられると、覚悟を決めた。

「2回目はタイムを上げていこうと思っていました。昨日男子を見ていて、ロナルド・ムルダー選手が同じアウトスタートインあがりの2回目で驚異的なタイムを出していたので」

 開き直った小平は素晴らしいスタートを切り、伸びやかな滑らせるスケーティングをして、100m通過で自己最高の10秒37を出した。最後は突き放されたが、平地自己ベストの37秒72でゴールした。

 優勝は李相花で、37秒42、37秒28とタイムを揃えた。順位を5位に上げた小平の合計タイムは75秒61。銅メダル獲得のマルゴット・ボーア(オランダ)との差は0秒13。メダルに手が届く範囲だった。

「1回目に37秒7を出していればという気持ちはあります。でも1回目から2回目とタイムを上げられたので、それが自分のベストだったのかなと思います。今日は表彰台に上がった3人と、私より上に行ったチャン選手を讃えたいと思います」

 こう話す小平に、今回でブレードと親友になれたかと尋ねた。すると彼女は「親友にはなりきれなかったけど、友情を感じられる程度にはなりました」と言って微笑んだ。

 さらに友情を深めて本当の親友になり、世界の頂点に上り詰めたいという思い。彼女はすでにその目標に向けて意識を切り換えている。

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