【アイスホッケー】嗚呼、スマイルジャパンの夢を奪った「幻のゴール」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva photo by JMPA

 それほど悔やみきれない疑惑の判定だった。

 なぜ、ロシアGKの身体の下に隠れたパックの位置を確かめようともしなかったのか。
 なぜ、問題のゴール裏にいたジャッジは明らかにインゴールに入ったパックを見逃したのか。
 なぜ、3人のジャッジはビデオ判定を拒否したのか。

 スポーツに“たられば”は禁物と分かっていても、世紀の国際舞台で生じた多くの疑問に、首をかしげた視聴者も多かったのではないだろうか。

 バンクーバー五輪の出場権を賭けた2008年11月の最終予選。アイスホッケー女子チームは最終戦で力及ばず、五輪の切符を逃した。あれから4年――。彼女たちは夢を叶えるため、絶え間ない努力を重ねてきた。仕事やアルバイトをしながらアイスホッケーの費用を捻出し、選手同士のコミュニケーションを高めるために多くの合宿に参加。また、メンタル面を鍛えるために専属コーチの指導を受け、自らを変えようと努力した。もし、あのゴールが認められていたら……。第1ピリオドで同点になっていれば、ロシアとの勝敗も変わったかもしれない。そしてロシアに勝って1勝1敗になっていれば、決勝トーナメントへの道も広がったことだろう。彼女たちはその可能性を信じて、必死に頑張ってきた。ソチ五輪までの4年間の努力を想像すれば、正直、悔しさを隠すことはできない。

 ソチ五輪の競技は次々と行なわれ、「幻のゴール」は多くの情報の中に埋もれてしまいそうだ。スマイルジャパンのニュースは、簡素に「予選敗退」と報じられるだろう。しかし、忘れてはいけない――。彼女たちはソチの舞台で、最大限に頑張った。その姿勢は声を大にして讃えたい。そして彼女たちの「最高のスマイル」は、4年後の平昌五輪まで楽しみにとっておきたいと思う。

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