葛西紀明、ノーマルヒル8位もラージヒルでの反撃に手応え (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Watanabe Kaoru/JMPA

 修正したのは、クラウチングの姿勢だった。ソチのなだらかな助走路に対応しようと、助走路の斜度が極端に緩やかなビショフスホーフェン(オーストリア)の助走路をイメージして低く組んだことで、本人が言う「変なジャンプ」になっていたのだ。そのため、この日はクラウチング姿勢の尻の位置を2~3cm上げて、W杯バットミッテンドルフ(オーストリア/昨年12月)で優勝した時に近い姿勢に戻してみたという。

 すると、昨日は他のトップ選手に負けていた助走スピードが上がり、試技ではトップに時速0・1キロ差の2位。1本目と2本目も0・3~0・4キロくらいの差になり、「助走でスキーにうまく乗れているのがわかったんです。そうなると踏み切りで失敗しても、あそこまで飛べる。失敗して8位ということに満足してはいけないですけど、良かったなという感じです」と葛西自身、修正できている自覚があった。

 葛西は、踏み切りのタイミングが遅れた理由についても、「助走のクラウチング姿勢で尻を少し上げたため、重心がつま先寄りになって、動作が少し遅れたから」と分析できている。その微妙な感覚は「これから練習で飛んで修正できると思いますし、ラージヒルになれば助走スピードが上がるため、かえって修正はしやすくなる」と言う。

 8位入賞に終わったとはいえ、結果を見れば100mジャンプを2本揃えたのは優勝したストッフと葛西だけ。2本とも風の条件はほぼ同じという中で、合計得点では22・8点の大差がついたが、葛西は「ストッフとの差はほとんどないはず」と言う。

「2本目のジャンプは僕もストッフも同じ風の条件で、(飛距離で)3・5m負けているけど、それは僕のミス。あの風速ゼロの条件なら、うまくいけば104~105mはいけたと思うんです。その感覚で踏み切ったけど、その瞬間にガクンとなったので、『あっ、遅れた』となってしまって......。ノーマルヒルは助走スピードが遅いのでタイミングを合わせようと考えすぎてしまうけど、ラージヒルは速くなって考える暇もないから、かえってタイミングを合わせやくなるんです」

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