メダル期待のジャンプ男子団体。5強の戦力を分析する (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Getty Images

 ほかに「ジャンプ週間」最終戦のビショフスホーフェン(オーストリア)で2位、1月の札幌で1日目は1位、2日目に2位になり、現在W杯総合ランク1位に立っているペーター・プレビック(スロベニア)も好調を維持している。

 02年ソルトレークシティ五輪と10年バンクーバー五輪で、ノーマルヒルとラージヒルで2冠を達成したシモン・アマン(スイス)もあなどれない存在だ。32歳のベテランは、今季調子が上がらず「今度の五輪はダメだね」と話していたが、「ジャンプ週間」のオーベルストドルフ(ドイツ)で優勝し、W杯総合ランキングで葛西に次ぐ5位まで上がってきている。

 群雄割拠の個人戦を誰が制するのか、まったく予想がつかない。

 一方、日本はラージヒル団体のメダル獲得の可能性も十分にある。葛西を筆頭に竹内、伊東と、個人でトップ10に入る力を持った選手がそろっているだけに、問題は4人目が誰になるかだろう。爆発力がある20歳の清水礼留飛と、今季力をつけてきた31歳の渡瀬雄太のどちらがメンバーに入ってくるか。五輪代表争いの重圧から解放されたふたりが本来の力を発揮すれば、表彰台の真ん中も見えてくる。

 ただ、強力なライバルたちがその前に立ちはだかる。優勝候補筆頭の強豪オーストリアは、シュリーレンツァウワーを柱に、経験豊富なアンドレアス・コフラー(W杯個人総合24位)やウォルフガング・ロイツェル(同25位)もいる。トーマス・モルゲンシュテルン(同10位)はケガで離脱しそうだが、若手のダイトハートがその穴を埋めるだろう。

 また、W杯で安定した強さを発揮しているカミル・ストッフ(2位)のほか、ヤン・ジオブロ(14位)、ピオトール・ジーラ(15位)、マティアス・コト(17位)とランキング上位選手がそろうポーランドも、オーストリアに迫る爆発力を持ったチームだ。

 スロベニアは、現在W杯総合ランク1位のペーター・プレビッツや、11位のロベルト・クラニエッツだけではなく、ヤルネイ・ダミャン(22位)も調子を上げてきている。4番手のユール・テペス(23位)の出来次第で、優勝争いに絡みそうだ。

 他にも、W杯総合ランク7位のアンダース・ビリンガーを筆頭に、ランキング18位以内に4人がいるドイツも、着実に得点を積み上げてきそうなチームだ。

 実力が拮抗しているだけに、ソチ五輪の男子ジャンプは個人も団体も優勝予想はまさに至難の業。接戦になることは必至で、日本がメダルを獲得するためには、竹内と伊東が今シーズン序盤の調子を取り戻すことが絶対条件になるだろう。試合当日、ソチの風の強弱が勝負を分ける大きな要因になると同時に、ミスが出たチームが脱落するという構図になりそうだ。

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