ソチ五輪は混戦!?髙梨沙羅が急成長のライバルたちに危機感 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真photo by Tsukida Jun

「全体的にだけではなく、上位争いに関しても今はどんどんレベルが上がっていると思います。今回3位に入ったドイツの選手は去年まで見たことの無い選手だったし。だからこれからは優勝争いも、かなりのクロスゲームになっていくのではないかと思います」

 高梨がこう話すように、3位になったジャニナ・エルンスト(ドイツ)や、予選で104mを飛び、1本目には99mで3位につけたエマ・クリネク(スロベニア)は高梨より2歳若く、昨季はW杯にも出場していなかった選手だ。それに加えて昨季のW杯後半戦はケガで欠場していた、2011年世界選手権優勝者のイラシュコが好調だ。

「でもレベルの高いシビアな戦いになるのは、本当に楽しみですね。競い合う相手がいるというのは幸福なことだと思うし、競り合ってどんどん上に上がっていければいいと思いますから」

 その中でも高梨が最も強く意識するのは、昨年の世界選手権や終盤のW杯で、飛型点差で敗れたサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)の存在だろう。今年の夏にケガをしたが、ソチ五輪には復帰してくる可能性が高い。彼女に勝つためには踏み切りや空中だけではなく、着地まで完璧にしなければいけないと考えてきた。そのライバルが不在のW杯では、いくら新しい選手たちが出て来ようとも負けるわけにはいかない。

「次のヒンターツァルテン(ドイツ)では、今日出てきた課題を克服して、もっともっといいジャンプができるようにしたいです」と明るい表情で言う高梨。楽しみにしていた冬季シーズンの開幕と優勝という滑り出しは、自らをさらに進化させなければいけないという、自分との戦いに火をつけるものになった。

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