ソチ五輪は混戦!?髙梨沙羅が急成長のライバルたちに危機感 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真photo by Tsukida Jun

「着地で自分の体を支える力がついてきたと思うし、テレマークを入れるやり方も身についてきたと思います。着地に関しては以前の方が余裕はあったけど、今はギリギリのところまで攻めてテレマークを入れようという意識になりました。そんな気持ちでやった今回、飛型点で高い得点が出たのは自信になるし、これからもそこをアピールしていきたいと思います」と、自分の進化への手応えを口にした。

 そして2本目は全選手中最悪の秒速1.54mの追い風を受けて飛距離は96.5mに止まったが、合計では2位のイラシュコに16点の大差をつけて優勝した。

 だが高梨は「勝てたのは良かったしホッとしたけど、内容的にはそんなに満足いくものではなかった」と、手放しでは喜ばなかった。

「特に1本目は、踏み切りでもう少し足を使ってジャンプ台に力を伝えて立ち上がれれば良かったな、と後悔した部分もあって。ちょっと体が流れていたというか、自分の悪い癖が出て助走でちょっと突っ込み気味になってしまいました。2本目もそこを直そうと思って臨んだけど、そんなにうまくできなかったので。そこはこれからの課題になったと思います」

 今年の夏はサマーGPでも総合優勝を果たし、この大会の前にはオーストリア・ラムソウの合宿で雪上でのジャンプ練習も十分にできた。その上で好スタートを切った高梨が、自分に厳しい評価を与えるのは世界のレベルアップを感じているからだ。

 昨シーズンまで、W杯の出場選手は50名に届かず、予選は無いのが当たり前だった。だが五輪シーズンの今季、開幕戦には70名もの選手が出場した。その上、各選手の技術も格段にあがり、2本目に進める30位以内の選手の中で、K点である90mに届かなかった選手は3人だけという、男子並みのレベルになったのだ。

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