【月刊・白鵬】現在6連覇中。なぜ横綱は九州場所で強いのか (2ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 巡業先の各地では、美味しい食べ物をたくさんいただきました。日本には「食欲の秋」という言葉があるそうですが、まさにその通りですね。

 そんな秋の味覚の代表格といえば、やはり松茸でしょうか。私にとっても、松茸を食すことは毎年の秋の楽しみになっています。先日、いただいたのは、すき焼き風とでもいうのでしょうか、松茸を牛肉に巻きつけて食べる料理でした。初めて食べましたが、あれは最高でしたね。

 魚介類も美味しい季節ですよね。石川県の金沢では、日本海で獲れた新鮮なお魚をいただきました。身が締まっていて、本当に美味しかったです。海のないモンゴルでは味わえないですからね。それを思うと、余計に幸せな気分になれました。

 そして、迎えた九州場所。美味しいものがあふれるこの季節、それもバラエティーに富んだ「食」に満たされている博多での開催です。私たち力士にとっては、一年でもっとも楽しみにしている場所と言っても過言ではありません。力士は、体が資本です。「食べることも仕事のうち」と言われているだけになおさらですね。

 いちばんの楽しみは、フグ、クエなどの魚料理です。クエは九州では「アラ」と呼ばれる深海魚です。なかなか手には入らないものだそうで、フグよりも珍重されています。脂がのっていながらも、決してくどくなく、刺身にしても、鍋にしても、本当に美味しいんですよ。私の好物のひとつです。

 博多では、屋台もいいですね。焼き鳥やおでんなどのおつまみをふんだんに味わうもよし、飲んだ帰りにとんこつラーメンを食べて締めるもよし、屋台ではひと通りの食事が堪能できるので楽しみ方はいろいろとあります。横綱になってからは、ふらっと立ち寄ることはなくなってしまったのですが、タイミングがあれば、また行ってみたいですね。

 というのも、博多の方たちは気さくで、街全体が大相撲を応援してくれているムードに包まれているからです。屋台で美味しいものを食べて、そこで出会った方々と、またいつかワイワイできればいいな、と思っています。そんな街の雰囲気が自分の肌に合っていて、私に力を与えてくれるのでしょう。だから、九州場所ではいい結果が残せているのかもしれませんね。そういう意味でも、九州場所での連覇にはこだわりたいですね。

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