【月刊・白鵬】現在6連覇中。なぜ横綱は九州場所で強いのか

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

第32回:九州場所

巡業先で若手に稽古をつける白鵬。巡業先で若手に稽古をつける白鵬。今年最後の九州場所(11月場所)が始まった。
場所前に充実した稽古を消化した横綱は、
幸先のいいスタートを切った。
この調子でいけば、九州場所7連覇も夢ではない。
それにしてもなぜ、横綱は九州で強いのか。
そこには、意外な理由があった――。

 大相撲九州場所(11月場所)が始まりました。今年の締めくくりとなるこの場所では、私自身、いろいろな記録がかかっています。

 おかげさまで2013年は、春(3月)、夏(5月)、名古屋(7月)、秋(9月)場所と、4場所連続で優勝することができました。もし今回、優勝を果たすことができれば、2010年以来、2度目の5連覇達成です。同時に、2007年から続いている九州場所での優勝は7年連続となります。

 また、7年連続7度目の年間最多勝(北の湖に並んで歴代最多。初日の勝利で確定)や、横綱昇進後の最速500勝(在位38場所。2日目に達成)などもありました。普段、自分自身では「記録」というものを意識することはほとんどありませんが、記録達成を聞かされると、一日一日、一番一番の積み重ねがこうした数字につながっているんだなぁと、感慨深く思いますね。

 さて、9月の秋場所が終わったあと、我々力士は巡業に出ました。関東近郊、そして東海、北陸、中国(出雲大社は土俵入りのみ)、四国地方など、全11カ所を回ってきました。その後、10月後半に九州場所が行なわれる博多に乗り込みました。

 巡業地から巡業地へとわたったこの1カ月。日々移動を続ける中で、車窓から見える風景からは、次第に空気が澄んでいって、山々が色づいていくのがわかりました。終盤には鮮やかな紅葉を目の当たりにするなど、季節の移り変わりというものを肌で感じることができた巡業でしたね。

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