2020東京パラリンピックの主役候補たちが、ステップ大会で躍動 (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 一方今大会が「初めての国際大会」という選手も少なくない。たとえば、陸上競技T54(車いす)クラスユースの部に出場した城間圭亮(17歳)は海外での初レースに、「緊張したし、海外の強い選手の言葉を聞いて力にできるよう、英語を勉強したいと思った」とフレッシュな感想を話した。だが、競技面でも価値ある経験を得ている。800mでは大会記録を塗り替え、400mでは自己新をマークするなど、「こういう場で(記録を)出せて、強い自分になっていると自信になった。東京という目指す場所が出来たので、そこに向かってステップアップし、金メダルを獲りたい」と話した。

 また、個人種目によっては参加人数などの関係から東京大会での開催が未定のものもある。選手はただ実施されることを信じて、今は自分のできる努力を重ねるしかない。今回陸上競技で藤井美穂(18歳)が1m38cmの世界新記録(申請中)出した走り高跳び女子T42(大腿切断)クラスはパラリンピックではまだ実施されたことがない。藤井は、「もっといろいろな大会に出て、いい成績を出して、アピールしたい」と話した。また、AYPGでは実施されたバドミントンも、現時点ではパラリンピックの正式種目ではない。シングルスとダブルスで銅メダルを獲得した藤野大輔(19歳)は「今、僕たちが頑張ることが、東京での実施につながると信じ、もっと努力したい」と話した。

 2020東京パラリンピックの開催決定は若い世代に大きな、そしてくっきりとした目標を与えた。7年後は遠いようで意外に近い。ライバルより一歩でも早く心がまえをし、具体的なビジョンを掲げ、努力を始めることが目標達成へのカギである。アジアでの今大会が「東京世代」の選手たちに大きな刺激となり、その一歩を踏み出す後押しになったことは間違いないだろう。

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