【アイススレッジホッケー】ソチパラリンピック出場逃す。
浮き彫りになった問題点

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 現在、世界ランキング1位のカナダのナショナルチームは、ホッケーカナダの傘下にあり、練習環境も選手層も随一だ。アメリカも同様で、また2018年のピョンチャンパラリンピックのホスト国となる韓国も、代表は半実業団化しており、週に5回はリンクに乗っているという。一方日本は、そもそもアイスリンクの数が少なく、選手のほとんどが仕事をしながら競技を続けている状況だ。こうしたライバル国の環境はうらやましく思えるが、同じような環境を短期間で整えるのは現実的には厳しい。

 では、再起するには何が必要なのか。

「同じ釜の飯を食った仲間」同士、本気でポジションを競い合う競争原理を働かせるためには、新しい流れが必要だろう。そして、相手の胸を借りるつもりで海外勢との実戦を増やし、いちから心身を鍛え、本当のプライドをかけた取り組みが続けば、長年の課題である新人選手の発掘にも光明が差すのではないだろうか。

 国内での競技人口はわずか50人程度だ。ソチパラリンピックの出場を逃したことで、メディアの露出は減り、ますます競技の認知度は低下してしまう。選手が"再び強くなりたい"と努力する一方で、協会や周りでサポートする人たちが、よりよい環境をどれだけ作っていけるかも課題になる。

 日本はソチパラリンピックには出場できないが、今年3月のBプール世界選手権で2位に入ったため、次回の2015年の世界選手権はAプールに返り咲くことになっている。そこで、今一度、日本の存在感を示してもらいたい。

 今大会どん底を味わったアイススレッジホッケー日本代表が、再びパラリンピックの舞台で輝く日まで、見守っていくつもりだ。

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