【体操】リオ、東京五輪で期待大。人材豊富な男子体操界の未来 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 一方、個人総合で王者・内村に続き、世界選手権は初出場となる20歳の加藤が2位になった意味も大きい。予選は3位通過でメダルを意識してしまう立場だったが、最初の床運動で全体トップの15.558点を出した内村より0.058点低いだけの15.500の高得点で滑り出したことで余裕を持てた。

 続くあん馬と吊り輪も14.6点台で抑え、跳馬では技の難度を下げて挑戦する冷静さもあった。そして平行棒と鉄棒では15点台を連発し、内村には1.958点差をつけられたが、3位のハンブッヘン(ドイツ)を抑えて日本勢のワンツーフィニッシュを実現したのだ。

 この2位で、王者・内村を追いかける1番手の存在になった加藤は「徐々に差を詰めて本当のライバルといえる存在になりたい」と話したが、リオデジャネイロ五輪では内村とともに2本柱になり、個人総合だけではなく悲願の団体金メダル獲得の大きな戦力になるはずだ。さらにその先の東京五輪では、内村に代わって日本のエースになっている可能性も大きい。

 その他には、内村が種目別平行棒で林超攀(リン・チャオパン/中国)と同点金メダルを獲得し、日本が床運動とともに苦手にしていたあん馬では世界選手権初出場で内村と同学年の亀山耕平が、予選8位通過ながら決勝では難度を上げて優勝を果たした。

 新生・白井の活躍や加藤の成長に加え、亀山の大金星。日本男子体操が今、勢いに乗ってきた。

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