2013.09.22

【月刊・白鵬】把瑠都、引退。横綱が最も強いと評した男の「泣き所」

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 さて、話はガラッと変わって、先日、私が手掛けた本が出版されました。『横綱白鵬 試練の山を越えて はるかなる頂へ』(学研)という、子ども向けの本です。

 この本の出版にいたるきっかけは、2011年3月11日に起きた東日本大震災です。その日が26回目の誕生日だった私は、「自分が誰よりも率先して、被災地の支援をする力にならなければいけない」と強く決意して、できる限り被災地を訪れるようにしました。

 その際、私がいつも目の当たりにして、強く心を打たれたのは、子どもたちの元気さ、パワーでした。そうした子どもたちの明るさが未来の日本を作るんだ、と痛感した私は、力士会でも被災地の子どもたちを支援していこうと決めました。と同時に、未来ある子どもたちのために、少しでも役立つような本が作れればいいな、と思ったわけです。

 内容は、私の半生を振り返ったもので、生まれ育ったモンゴルの話から、日本に来て力士となり、横綱に昇進するまでの道のりを綴っています。今や、69代横綱として多くの優勝を積み重ねてきた私も、小さい頃はみなさんと同じように、迷ったり、親に甘えたりしていた、普通の子どもだったんです。そして、力士になってからもさまざまな苦労や失敗を重ねてきました。そんな紆余曲折あった人生とともに、そこで培ってきた自分なりのモノの考え方を紹介しています。そこから、子どもたちには夢や希望を持つことの大切さを知ってもらえればいいな、と思っています。

 本の出版イベントでは、会場に来てくれた子どもたちからも多くの質問を受けました。そのひとつに、こんなものがありました。
「強くなるには、どうしたらいいんですか?」

 私は、こう答えました。
「当たり前のことをやることです。同じことをやり続けるのはつらいけれど、小さな努力を積み重なることです」と。

 子どもたちにはちょっと難しかったかもしれません(笑)。でもいつか、その言葉の意味をわかってくれると、私は信じています。

関連記事