陸上、水泳、サッカー、バレーボール...2020年東京五輪の主役たち (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中西祐介/アフロスポーツ●写真

 萩野と瀬戸は個人メドレーを基盤にするが、「得意種目では世界でメダルを争えるくらいでないと、個人メドレーで金メダルを獲れない」という高い意識を持つ。マイケル・フェルプスやライアン・ロクテ(ともにアメリカ)のようなオールラウンダーを目指しているだけに、複数の種目でのメダルも視野に入れている。次のリオデジャネイロ五輪でも金メダルを目標にするが、さらに成長した姿を東京で見せてくれるはずだ。

 一方、高3で世界記録保持者になった山口は、2分07秒01という記録だけが先行して苦しんだ時期もあった。だが、初めての世界の舞台だった今年の世界選手権では決勝へ進出。平井コーチの下で再スタートを切る準備は整った。

 大学1年のゴールデン世代の1学年上には、200mバタフライで松田の後を継いで世界を狙おうとしている小堀勇気(19)がいる。彼は自由形も得意としているだけに、萩野とともにこれまで世界から離されていた自由形のレベルアップもしてくれるはずだ。

 女子では平泳ぎにロンドン五輪代表の高校生の渡辺香生子(16)や、中学1年になったばかりの今年4月、日本選手権200mで3位に食い込んだ今井月(13)がいる。小6になってから急激に力をつけた今井は153㎝と小柄ながら、足のサイズは25・5㎝でキックの強さが武器。今年はジュニアの国際大会を飛び越して10月の東アジア大会でシニアと戦うことになった。ふたりが急激に進化をしている世界に目を向けながら戦っていけば、鈴木聡美の後継者になれるだろう。

<陸上>男子短距離勢に注目
 陸上では男子100mの山縣亮太(21)が28歳、桐生祥秀(17)が24歳と、充実した時期に東京五輪を迎える。山縣はもともと、「リオの次の五輪が自分としては集大成の大会になる。そこで最高の結果を出すためにも、リオまでには9秒台を出して決勝に残れる力をつけておきたい」と話していたが、東京五輪決定後、あらためて「7年後ということで目標はまだ漠然としていたが、地元開催の東京になり、モチベーションはこれまでより高くなる」と語った。

 男子短距離には10年世界ジュニア200m優勝の飯塚翔太(22)もいる。桐生と山縣はこれから200mにも挑戦する予定だが、100m9秒台、200m19秒台の選手が3人以上いれば、4×100mリレーも常時メダルを狙えるようになる。

 飯塚と同じ世界ジュニアで銀メダルを獲得した男子やり投げのディーン元気(21)も「28歳といえばちょうど技術も熟成する頃。父親の母国で開催されたロンドン五輪に続き、生まれ育った日本でも五輪があるのは本当に幸運なこと。リオでロンドンのリベンジを果たし、東京では最高の結果を出したい」と意欲を語っている。

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