東京の得票数は40前後!? 五輪招致レースの「票読み」 (2ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu photo by Mimura Takayuki

 現在、IOC委員は104人いる。立候補都市のある国の委員(日本1、スペイン3、トルコ1)とロゲIOC会長は投票に参加できないため、1回目の有効投票は最大98票となる。

 最多得票の都市が過半数を獲得すれば決まり、過半数を獲れなければ、もっとも得票数の少ない都市を落とし、残った2都市による決選投票に持ち込まれる。

 1回目の投票で過半数を獲得する都市が出ることは、まず、なかろう。つまり決選投票で勝負が決まる。1回目の投票では「33票」あれば、クリアできることになる。

 ここで押さえておかないといけないのは、大陸別のIOC委員の構成である。欧州が45人、アジア23人、北中南アメリカ18人、アフリカ12人、オセアニア6人となっている。有効票では、それぞれ40人、22人、18人、12人、6人。

 東京が勝つとすれば、ひとつ目の理由はアフリカの票をほぼ押さえていることだろう。東京五輪招致委や関係者の努力の結果、国際陸上連盟(IAAF)のラミン・ディアック会長(セネガル)らを中心に友好関係を築いたとされている。ただイスタンブールがその関係を崩しに入っているようだが......。

 ふたつ目の理由は、東京による大票田の欧州票の切り崩しである。東京がアジアを押さえ切れていない状況と同様、マドリード、イスタンブールも欧州票をまとめきれていないようだ。

 2大会連続での欧州開催のデメリットをチラつかせながら、東京が、2024年五輪招致をもくろむフランス、イタリアのIOC委員を味方にしているとの情報がある。ロシアの票も可能性は大きい。招致関係者によると、さらには次期IOC会長の座を狙うトーマス・バッハ(ドイツ)が東京に好意的だという。

 3つ目が中東、オセアニアのIOC委員の取り込みである。アジアを見ると、国際関係の悪い中国、韓国の票は期待薄だが、アジア・オリンピック評議会(OCA)のアーマド会長(クウェート)が東京支持を打ち出している。その周辺の中東票に関しては、8月下旬に安倍首相が訪問して、改めて東京支援を呼び掛けたもようだ。

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