【月刊・白鵬】横綱の心揺さぶる、日本の夏の「風物詩」 (3ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 モンゴルから来日して15歳で入門した私にしても、関取にやっとなれたのが19歳のとき。それも、小さかった体が大きくなったばかりの頃で、相撲というものがどういうものなのか、当時は何もわかっていませんでした。その後、さらに体が成長し、番付が上がっていくにしたがって、相撲内容が変わり、相撲の幅も広がっていったように思います。

 そして今年、横綱になって6年が経過。私は、28歳になりましたが、力士にとっては、この年齢こそがピークなのではないかと思っています。

 なにしろ、私は今、自分なりの力がいちばん発揮できているように思うからです。20代前半のときのように、がむしゃらに稽古することは減りましたが、自分の体調に合わせて調整し、本場所に向けてベストな状態を作れるようになりました。

 さらに、「経験」というものが蓄積され、それが今、まさに身になってきているように感じています。横綱に昇進したての頃は、自分を見失うというか、慌てて相撲をとってしまうことがありましたが、今ではどんなときでも落ち着いて対処できるようになりました。ここのところ優勝回数を積み重ねられてきたのも、そういう相撲がとれるようになったからだと思います。

 そんな中、最近ふと「3年後、自分はどこにいるのかなぁ?」なんて考えることがあるんですよ。その際、30代の自分の姿をはっきりと思い浮かべることはできないのですが、現在招致活動をしている、2020年の東京オリンピックが開催されることになったら、楽しみだな、と思ったりしていしますね。

 もし、東京オリンピックの開催が決定したら、その年までは現役の横綱として活躍していたいですね。「SUMO」というスポーツを、世界中の人に知ってもらう絶好のチャンスですし、そのひと役をぜひとも担うことができればいいな、と思っています。

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