【月刊・白鵬】「ひつまぶし」好きの横綱、うなぎ不足を嘆く (3ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 今場所前も稀勢の里は、精力的に活動していました。いい力士の多数いる境川部屋や春日野部屋に出稽古に行ったり、ある日は所属する鳴戸部屋で横綱の日馬富士関の出稽古を受けたりしていたそうです。そこで、タイプの異なる力士とふんだんに稽古ができたと聞いています。横綱を目指すなら、なりふり構わず、自分の苦手な相手とも稽古して、克服するべきです。それが、自らの自信にもなるだけに、いい準備ができたのではないでしょうか。

 稀勢の里の誕生日(7月3日)の前日に、私のところに取材に来た報道陣が、「横綱は、(鳴戸部屋へ)出稽古に行かれないんですか?」と聞いてきたので、「わざわざ、オレが(稀勢の里の誕生日の)お祝いに行かなくてもいいんじゃない?」と、冗談で返したけれども、私も決して出稽古に行く気がなかったわけではないんですよ。まあでも、話を聞く限りでは、充実した稽古ができていたようですし、私が行くまでもなかったでしょう。

 何はともあれ、稀勢の里にとっては、将来がかかっている大事な場所。きっと、場所が終わるまでの一日、一日が辛い日々だと思います。しかし、何をしなければいけないのかは、彼自身がいちばんわかっているはず。「横綱」という大きなものをつかむためには、誰もが乗り越えなければいけない"壁"です。ぜひ、歯を食いしばって耐え抜いてほしいと思います。

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