ひとつしかない五輪追加競技の枠。
正念場を迎える各団体の動向は?

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • photo by Getty Images

 歓喜と落胆が交錯する。5月29日のロシア・サンクトペテルブルク。国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で2020年での五輪追加競技が審議され、最終候補に残ったのは8競技中3競技だった。発表会見の席上、落選した空手、武術などの関係者は無言で途中退席した。

「レスリング!」

 真っ先にそうアナウンスされると、五輪3連覇の吉田沙保里(ALSOK)は席から立ち上がって、ガッツポーズをつくった。「本当に跳びあがるほどうれしかった」と言う。

ラロビッチ会長と並ぶ福田富昭会長(写真左)と吉田沙保里(右)ラロビッチ会長と並ぶ福田富昭会長(写真左)と吉田沙保里(右) 隣の国際レスリング連盟(FILA)副会長の福田富昭・日本協会会長も顔をくしゃくしゃにし、国際連盟のラロビッチ会長と肩を抱き合った。

 野球・ソフトボールのポーター・国際ソフトボール連盟会長は体を震わせ、涙を流した。「我々は生き残った」と漏らす。

 スカッシュのラマチャンドラン・国際スカッシュ連盟会長は「次のステップに移ることができた」と笑顔を振りまいた。

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