【体操】ワールドカップ東京大会で銀メダル。加藤凌平「内村と並ぶ2本柱へ成長中」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao

 その試合形式に戸惑ったという加藤は「最初の演技でバラついたが、そのあとの種目で大きなミスなく演技を終えられたというのが自分の強味だと思う。でも、順位は2位だけど、自分の中ではひとつも納得のいく演技が出来なかった」と表情を曇らせた。

「指先、足先まで意識して攻める試合をしたい」と話した2日目。最初の跳馬はロイター板の微妙な跳ね返りのズレを修正出来ず、予定していた伸身カサマツ跳び2回捻りの"ロペス"を回避して、1回半捻りの"ドリックス"に落としてスタート。Dスコアは6.0点から5.6点に下がったが、Eスコアは9.45点で15.05点を獲得した。ところが、大技を決めたベルニアイエフに15.375を出され、リードを広げられた。

 続く平行棒では、「入りで詰まった」と話しながらも、Dスコア6.7点の演技で、ミスをしたベルニアイエフを追い詰める。最後の鉄棒ではキレのある演技で着地も決まり、笑顔を見せたが、ベルニアイエフに0.2点及ばず2位に止まった。

「五輪のメダリストや入賞者の中で戦えて銀メダルを獲得できたのは自信になったし、この選手の中でも戦えることを確認できた」という加藤だが、「2位という順位は出来過ぎと思えるくらい、今回の試合は内容が今ひとつだった」と表情を緩めない。

「こういう個人総合の試合形式は初めてだったので、アップの仕方も違っていてうまく自分のペースやリズムが作れず、思い描いている演技が出来なかった」

 こう話す彼の心の中には当然、王者・内村に対抗して頂点に立ちたいという気持ちがある。だからこそ喜べないのだ。

 事実昨年も、ロンドン五輪後の全日本学生選手権個人総合では、ロンドン五輪銀メダルのニューエンの得点を0.069点上回る91.100点を出していた。そんな自負もあるはずだ。

「今大会は全種目を通じて決めが足りなかったし、着地や足先まで完璧に注意することが出来なかった。これから一つ一つの技の完成度や、通しの完成度を高くして、6種目を通じていい演技が出来るように頑張りたい」

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