これからが正念場。
東京五輪パラリンピック招致、IOC評価委の本音は?

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu photo by Nakanishi Yusuke/AFLO

 前回2016年招致の際との一番の違いは政府と皇室のサポートだろう。いわゆる「オールジャパン」を招致委会長の猪瀬直樹都知事は強調した。

「4年前の経験が今回はとても参考になりました。不足していたところ、何を加えないといけないか十分に考え、今回はオールジャパンでやったことが大きい。皇室も首相も経済界も都知事も、一丸となって招致レースに臨んだ。その結果が、(評価委員に)いい印象を与えたんじゃないかと思います」

 全体の招致活動の予算は約75億円。テーマのひとつが、東日本大震災に伴う原発問題、地震、津波に対する不安の払しょくだった。

 組織委は東京電力福島第一原発事故の影響に関し、都内や仙台などの放射線量についてのデータを提出した。

 招致委理事長の竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長は「いかに放射線量が低いのか、問題がないことをご説明しました」と話したが、関係者によると、評価委員会側から「第三者機関を通しての統計も添えられると非常に説得力がある」とコメントをもらったという。

 いずれにしろ、評価報告書の評価がそのままIOC委員の投票行動につながるわけではない。しかも報告書には、今回来日していないジャック・ロゲ会長やIOC幹部の意向も反映されるといわれている。

 ただ今回の視察中にIOC評価委員会から伝えられた「東京都民の五輪開催支持率70%」は朗報である。前回16年大会の招致活動では56%だった。これで招致レースの土俵に載ることができる。

 招致レースをみれば、イスラム圏初の五輪開催を狙うイスタンブール(トルコ)の優位は動かないだろう。また、サマランチ前IOC会長(故人)の人脈が根強く残るマドリード(スペイン)も侮ることはできない。

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