【ノルディック複合】惜しくも4位。日本の黄金期再来はなるか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Kishimoto Tsutomu

「このジャンプ台は飛び方さえ知っていればある程度いける台。ジャンプ自体は善斗と加藤はずっと調子が良かったし、それに、暁斗も今回はいいジャンプができた。その意味では自分たちの流れに持ち込めた展開でした」 

 こう話す河野孝典ヘッドコーチは、クロスカントリーの4人目に、走力のある湊を起用した。

 ジャンプの得点をクロスカントリーのタイム差に換算する割合が、現在よりも大きかった90年代前半であれば、日本は後続に3分以上の差を付けることができたが、現在の得点換算では45点差で1分と、それほど大きなタイムの差にならない。そのため、4人が各5kmずつ走る団体戦の距離では、トップチームが1分前後の差にひしめき合うことがほとんどになっている。

 そのため、「最後は数チームが団子になってメダル争いをするスプリント勝負になるだろう」と読んだ河野ヘッドコーチは、「外国の速い選手たちと戦えるのは湊しかいない」という理由で彼をアンカーに置き、メダル争いを制するつもりだった。

 日本の1番手は4人の中では走りが弱点の渡部善斗。逃げきるか、追いつかれてもほとんど差がない状態で2番手につなぐのが役割だった。しかし、前半の2.5kmこそ10秒ほど詰められただけでしのいだが、3km過ぎにフランスとオーストリアに追いつかれ、直後にはオーストリアの逃げを許す。さらにノルウェーとアメリカにも追いつかれ、最後は4位となってしまった。

「後半、スピードをキープできなかったのは自分の弱いところ。疲れが出た頃に追いつかれて、それから置いていかれるという、最悪の走りをしてしまった」と善斗は反省する。

 それでも、「調子自体は悪くなかった」という2番手の加藤は冷静にトップ集団を追走した。無理をしすぎることなく2位集団に追いつくと後方に待機。そして4km過ぎの上りで仕掛けると、最後まで集団に離されずに渡部暁斗につないだ。

 その渡部暁斗は2位集団の後方でじっくり構える滑り。「前について行って、離れないようにするのが仕事だった」と本人が言うように、2位集団についていくと、10km過ぎから首位オーストリアを猛追。残り1km付近でオーストリアをとらえて上位5チームが団子状態になると、暁斗はラストで仕掛け、トップで最終走者の湊につないだ。

 アンカーの湊は、大会前に体調を崩し、完全に戻りきっていなかったが「今日はチャンスだと思っていたし、暁斗が1位でつないでくれたので『このまま行けたら』と思っていた。一緒に走ったのは五輪や世界選手権で結果を出している選手ばかりだったけど、最後のスプリント勝負になったら勝てるはず」と自信を持っていた。

 しかし、残り2kmの上り坂でアメリカのビル・デモングが仕掛けた時、湊は反応できなかった。何とか粘ったものの、トップ集団から離されてしまう。最後に追い上げてオーストリアを交わしたものの、結局4位に終わった。

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