【カーリング】日本選手権3連覇。中部電力、「女王」の貫録見せて世界へ (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • 中村博之●撮影 photo by Nakamura Hiroyuki

 中部電力は、シーズン前から最低でも週2回の体幹、筋力トレーニングを消化。1ゲームを通してフルスイープできる持久力を作ってきた。そのうえで、男子の部で優勝したSC軽井沢との合同トレーニングを数多くこなし、「男子のスイープを間近で見ることによって、(スイープ力が)大幅に成長した」(中部電力・長岡はと美コーチ)。

 結果、男子並のハードなスイープを体得。今回の日本選手権でも、スキップやバイススキップの指示のもと、適切かつ有効なスイープを実践。それも、最後までバテることなく、激しいスイープを続け、スイープの総合力で他チームを圧倒した。

 3位となった札幌国際大学のスキップ・吉村沙也香は言う。
「(中部電力のスイープと比べて)単純に石の距離を伸ばすだけなら、私たちも負けてないと思う。でも、ラインコール(方向性の指示)やジャッジ(スピードや方向性の判断)において、私たちには甘さがあった」

 そして、最後は経験だ。

 中部電力に決勝で敗れた北海道銀行のスキップ・小笠原歩が語る。
「個々のショットのスピードや精度自体は、(中部電力に比べて)ひけをとっているとは思わない。ただそれを、日本選手権の決勝のような大きな舞台できちんと出せるか出せないか。その差が結果に表れた」

 ここ数年、中部電力は日本のどのチームよりもハイレベルの舞台を踏んできた。欧州やカナダへの海外遠征を重ねてきたのはもちろんのこと、五輪切符獲得につながる2度のアジア・パシフィック選手権では、世界レベルの相手と緊張感のある戦いを繰り返してきた。その経験が、選手たちの自信となり、国内チームとの対戦では最大のアドバンテージとなった。

 メディアの質問に受け答えする中でも、難易度の高いショットについて「あれくらいのショットには慣れている」と、淡々と答える中部電力の選手たちの姿があった。そこからは、まさにこれまで積んできた経験と、そこで得た自信の高さがうかがえた。

 中部電力の次なる戦いは、3月16日からラトビア・リガで開幕する世界選手権。ここで好成績を残せば、ソチ五輪の出場枠を手にすることができる重要なチャレンジだ。

 主将の市川が語る。
「初めての世界大会なので、上位を狙いながらも、世界の感触をこの目、耳、肌......、全部で感じてきたいです」

 はたして、彼女たちの武器は世界でも通じるのか。ソチ五輪への本格的な戦いがいよいよ始まる。

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