【カーリング】日本選手権、「女王」中部電力を止めるチームはあるのか (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • 中村博之●撮影 photo by Nakamura Hiroyuki

 準備、選手層に加え、個々の成長、スイープ力でも抜きん出ている中部電力。「アップセット(番狂わせ)は起こらない」という意見が、現場の大勢を占めている。

 この「最強」中部電力を止めるチームはないのか。

 最大のライバルとなりえるのは、昨年の日本選手権2位のロコ・ソラーレ(LS)北見だろう。年末にはアメリカ・ミネソタへ、年が明けるとスイス・ベルンに飛んで、それぞれで現地の大会に参加。海外経験を積んで、スキップの本橋麻里を中心とした自慢の攻撃は一段と進化しているという。中部電力との試合では点取り合戦になることが多く、中部電力・和田博明監督も「ハマると一番怖いチーム」と、その秘めた爆発力を警戒している。

 昨年の日本選手権で3位に終わったチーム青森も巻き返しを狙っている。前回大会では、石をためて大量得点を取りにくる中部電力の良さを消すような、極端な戦術をとった。アイス上の石をなるべく弾き出すショットを数多くチョイス。勝負どころでの1点を、より重くするゲーム運びを見せた。結局、勝利には結びつかなかったものの、王者にはかなりのプレッシャーを与えた。

 今年はどう挑むのか。チーム青森の佐藤健一代表に聞くと、「(中部電力は)数多くの選択肢を持った相手ですから、そういった決め打ちは危険です。エンドエンドで変化させていかないといけない」と答えるにとどまったが、古豪が復権のためにどんな姿勢で王者に向かうのか、注目が集まる。

 ただし、LS北見は結成3季目で、メンバーもまだ若い選手が多い。チーム青森も腰痛で長期リハビリ中の山浦麻葉に代わって、今季始めに地元有力チームから齋藤菜月を加えたばかり。充実したメンバーがそろい、週5回のトレーニングをこなしている中部電力に比べ、チームの成熟度としては物足りないのが現状だ。

 ならば、「女王」中部電力に匹敵するトレーニングやゲームを重ねている、札幌国際大学のほうが、逆転候補として面白い存在。常呂高校時代からのメンバーで構成されたチームとあって、コミュニケーションは国内最高レベル。昨年12月の日本ジュニア選手権、今年1月のパシフィック・アジア・ジュニア選手権と、それぞれ3連覇を果たすなど、実績も十分だ。

 北海道選手権決勝ではLS北見を下して、チームも勢いに乗っている。中部電力とは、メンバーが常呂高時代の3年前の日本選手権で対戦し、1勝1敗だった。互角に渡り合えるだけの力があり、番狂わせを起こしても不思議はない。

 何はともあれ、攻撃力、経験と戦術、高いコミュニケーション力とゲーム勘など、それぞれ異なったストロングポイント持つ、国内選りすぐりのチームが激突する日本選手権。はたして、その個性を遺憾なく発揮して、国内の頂点に立つのはどのチームか。6日間の白熱した戦いからは目が離せない。

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