【スキージャンプ】ソチ五輪へ。選手の実力以上にカギを握る「スーツ」の開発競争 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

 W杯開幕以降、スーツ対策に振り回されているのが現状だが、その開発合戦はまだまだ続きそうだ。日本勢も帰国後の札幌で使った新しいスーツはまずまずだというが、他の国が開発を進めればさらに置いていかれかねない。

 しかも、日本の場合は2社あるスーツ生地メーカーのうち、各国の主流となっているドイツのマイニンガー社の生地を契約の関係で使えないため、スイスのエッシャー社のみという問題もある。

「今は僕たちが選手のジャンプを見て想像しながら修正している状態だけど、その修正の効果を実証できるようなシステムがあれば話が早くなりますね。そういうことをいろんな分野の人を揃えてやりたいと思っているんです。今は日本で風洞実験もできるし、生地やカッティングなどすべてを含めてチェックしないと他の国にはついていけない。同じロールの生地でも部位によっていいところと悪いところがあるし、生地の順目と逆目の使い方にもバリエーションはあるからやり方はいろいろあると思います。

 0cmの時は何もできなかったけど、たぶん世界の誰もが、2cmでこんなに差が出るとは思っていなかったでしょうね。スーツ合戦もそうだけど、各国はシューズの中の細工合戦とか、あの手この手できていますよ」(横川)

 竹内も「バンクーバー五輪でシモン・アマン(スイス)がビンディングの金具を曲げてきてダントツで強かったように、日本チームもいろいろ考えていかなければダメですね。たぶん、他の国は五輪へ向けていろいろ試していると思いますから。選手は成績が悪くなると『技術的なことなのかな』といろいろ考えてしまうけど、技術だけではなく、道具も本当に大事だと思う」と言うように、開発競争は続きそうだ。

 今後もルール変更はあるかもしれないが、メーカー関係者を含めて道具の開発に力を注ぐことこそ、ソチ五輪へ向けての日本ジャンプチームの最大の課題になる。

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