【スキージャンプ】ソチ五輪へ。
選手の実力以上にカギを握る「スーツ」の開発競争

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

W杯札幌大会2日目の2本目でまさかの失格となった伊東大貴W杯札幌大会2日目の2本目でまさかの失格となった伊東大貴 まさかのアクシデントだった。1月20日のスキージャンプW杯札幌大会2日目、伊東大貴が1年ぶりの優勝をかけた2本目のスタート直前、ゲートで右手を滑らせ助走路に転落。結局、青信号になる前にスタートしたとみなされて失格になり、30位に沈んだ。

 もともと風が不安定で条件がコロコロ変わることに定評がある札幌の大倉山ジャンプ台。今年の風はこれまで以上に悪かったうえに激しい雪が降る悪条件。それまでのW杯ランキング上位のバーダルやヤコブセン(ともにノルウェー)、フロイント(ドイツ)、コフラー(オーストリア)などの実力者も下位に沈み、優勝したのはそれまでW杯総合26位で優勝経験がなかったヤン・マツラ(チェコ)という大荒れの大会となった。

 その中で日本勢は、竹内択が2日目には粘りのジャンプで7位になり、葛西も風に恵まれない中で初日11位と2日目19位を堅持。若手の小林潤志郎も初日の1本目は7位という成果を見せた。

 伊東については、横川朝治ヘッドコーチが「2日目の1本目はすごく難しい風の条件だったが、あそこ(130・5m)まで伸びていくというのは本来の調子が戻ってきている証拠。2本目は条件も良くなっていたから優勝できると思っていた」と評価していただけに、悔しい結果となった。

 伊東は今季、膝の故障で出遅れ、年末からW杯に復帰したが、1月12日までのヨーロッパの6戦では30位以内に入れずポイントはなし。それでも19日のW杯札幌大会初日は2本目にトップの得点を叩き出して6位になり、2日目も1本目は2位につけて復調の気配を見せていた。

 横川ヘッドコーチは「今季はすごく僅差の戦いで、上位30名にはみんな優勝するチャンスがあるという状況。伊東や竹内、葛西は上を狙えるポジションにいるから、うまく調子を合わせれば確実にシングルへ入っていけると思っている。4番手、5番手の底上げも欲しいところだが、上の調子がよくなれば相対的にレベルは上がっていくはず」と話す。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る