【月刊・白鵬】驚愕の誤報もあった!? 「2012年、横綱の5大ニュース」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text by Takeda Hazuki

 次は、初場所(1月場所)の把瑠都の初優勝と、鶴竜の大関昇進です。

 ひとり横綱でいる期間が長くなっていた私は、真の意味で互角に戦えるライバル的な存在がほしかった。そして、計り知れない力を持った把瑠都なら、スケールの大きい横綱になれると、かねてから思っていました。それだけに、把瑠都が初場所で待望の優勝を果たしたときには、「これで一気に横綱だ!」と期待が膨らんだものです。最終的には、その望みは叶いませんでしたが、印象深い出来事でした。

 鶴竜は、センス抜群の力士です。ワンチャンスをモノにして、大関に昇進したことは評価できると思います。史上初の6大関誕生という意味でも、今年を象徴する話題だったと思います。

 3番目は、私自身、ケガの多い1年だったこと。初場所に足の指を痛めたことに始まり、夏場所も密かにケガで苦しんでいました。これまで、そうしたことは少なかったので、なおさらケガに悩まされた1年だったな、という記憶が残っています。

 それでも、夏場所のケガも癒えた名古屋場所(7月場所)では、初日から14連勝を飾って、自信を取り戻すことができました。そして、その場所の千秋楽、結びの一番では日馬富士と全勝対決が実現。敗れはしましたが、その際、日馬富士というライバルの存在を改めて意識することになりました。

 そういう意味でも、この全勝対決の翌場所、日馬富士が2場所連続の全勝優勝を果たし、横綱昇進を決めたことも、5大ニュースから外せません。

 その秋場所(9月場所)、私も「先場所の借りを返してやる!」とかなり意気込んでいました。しかし日馬富士の気迫は、それ以上に素晴らしかった。「絶対に横綱に昇進するんだ」という気持ちの強さが、私にもビシビシと伝わってきました。2場所連続で苦杯を舐めましたが、待ちに待った横綱誕生には、素直に喜んだものです。

 新横綱で臨んだ九州場所では残念ながら後半で失速してしまいましたが、日馬富士の負けん気の強さは天下一品です。東西に横綱がそろってこその大相撲。最近は巡業中の支度部屋などでもあれこれと話し合う機会が増え、私自身、もっとがんばろうという気持ちになってきています。

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