【レスリング】伊調馨が語る「ロンドン五輪と、未来の私」 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text & Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

――練習はかなりハードでしたか?

伊調 やっぱり、レベルが違いますからね。しかし、いろいろ偏見もあるけど、「受け入れてもらったんだから、がんばらなくては」と。そうしたら、「女子もここまでやるから、世界で勝てるんだな」と、認めてもらえるようになりました。男子と女子の垣根を取っ払った功労者ですよね、私(笑)。

――今後の予定については?

伊調 休みたいですね。海外にも行きたいし。英語を勉強したいんです。子どものころからレスリングだけをやってきて、分からないことだらけですから……。いろいろ見たいし、いろいろ知りたい。

――将来の夢は?

伊調 結婚願望、ありますよ。でも、今はレスリングかな。学んできたものを伝える義務があると感じるようになりました。

――それは、どのレベルの選手に対して?

伊調 代表クラスから、子どもたちまで。今、本当にヤバイと思うんです。オリンピック3大会(アテネ、北京、ロンドン)、各階級のトップは、姉の千春が一線を退いて(小原)日登美先輩に替わっただけで、私も沙保里さんも浜ちゃん(浜口京子)も3大会連続出場……。もういい加減、次の世代が出てこないとマズいでしょう。だから今年の全日本選手権は出場しないので、後輩に『活』を入れてきますよ(笑)。

――一方、子どもたちには?

伊調 レスリングの楽しさを教えたいですね。自分が兄や姉について練習に行っていたころ、感じていたような楽しさを。(伊調姉妹が育った)八戸クラブの沢内先生は、今も私にとってお父さんみたいな存在なんですけど、そんな指導者になれたらいいなぁ。

――お姉さんの千春さんのように、教員になるというのは? 体育の教員免許を持っていますよね?

伊調 免許は持っていますけど、私にはできません。先生って、レスリング以外にやらなければならないことがいっぱいあるじゃないですか。私は先生という型にはまるのも難しそうだし。適当というわけじゃないんですけど、生徒に迷惑をかけてしまいますから(笑)。

――次のリオデジャネイロ五輪までの4年間は、長いですか?

伊調 いや、そんなこともないと思います。アテネからロンドンまで8年間、あっという間でしたから。でも4年後は、32歳かぁ……。レスリングばっかりやっていたら、ダメじゃないですか。そうなったら、一生独身ですよ(笑)。


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