【レスリング】吉田不在の全日本選手権、開幕。ライバル・村田夏南子が語る「五輪への思い」 (3ページ目)

  • 布施鋼治●文・撮影 text & photo by Fuse Koji

 試合後、村田は悔しそうに呟いた。

「ロンドン五輪を目指していたので悔しい。次のオリンピック(リオデジャネイロ)に出られるように頑張ります」

 あれから1年――。12月21日より東京・代々木第2体育館にて全日本選手権が行なわれる。今大会の3週間ほど前、日大レスリング部道場で練習に励む村田に話を聞いた。2年前の初対決、もしかしたら吉田選手を越えられるかもしれないと思わなかったかと。すると村田は、こう答えた。

「逃げるのに必死だったけど、そこから返してやろうと思いました」

 当時、まだ17歳。不屈の闘志を感じた。「気持ちの強さは祖父譲り」と、家族は分析しているという。富山監督は「練習より本番に強いタイプ」と評した。

 今回、目標とする吉田は全日本選手権に不出場ながら、次世代のホープとして村田にかかる期待は大きい。だからこそ富山監督も、注文を出すことを忘れない。「村田はすごくいいけど、まだムラがある。攻撃している時はすごく強く、吉田に勝っちゃうんじゃないかと思わせる時もあるけど、いかんせん『受け』が弱い」。

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