【月刊・白鵬】新横綱・日馬富士に刺激され、改めて高まる「優勝」への思い (3ページ目)
そんな中、日馬富士との三番稽古が実現したのは、巡業先の徳島でのことでした。徳島は私の妻の出身地で、多くの人が応援してくれています。その分、私の気持ちも高ぶっていたと思います。声援に後押しされて張り切って土俵に向かおうとすると、土俵下で日馬富士と思わず目が合って、高揚した雰囲気にも押されてか、ふたりの三番稽古になりました。
私は知らなかったのですが、横綱同士で三番稽古をすることは、異例らしいですね。でも、気になる相手と稽古するのは当然のことです。これからも機会を見てこうした稽古をしたいと思いますが、願わくは日馬富士や私に、若い力士がどんどん胸を借りにきてほしいものです。若手を引き上げるのも、横綱の仕事のひとつですから。
博多へ入ってからも、場所前の行事やイベントごとを、横綱ふたりでこなせるというのは、良かったですね。ここ数年は味わえなかった気分で、心地よいものがありました。
ところで、私はここのところ、人前で挨拶をするときに、
「最近、優勝のない白鵬です」
と言っていることが多々あります。もちろんこれは、「このままじゃ終わらない」という気持ちから出ている言葉です。
九州場所は、5年連続優勝を果たしているゲンのいい場所です。半年間優勝を逃していて、優勝への思いも改めて高まっています。先輩横綱として、「これぞ横綱」というところを見せつけて、一年納めの場所を優勝で締めくくりたいと思っています。
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