【スキージャンプ】ソチ五輪プレシーズンに臨む高梨沙羅。高1の夏につかんだ確かな収穫 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

「初めての時はそのスーツを着ることさえ苦しかったので、本当にこれで体を曲げてアプローチ姿勢を組むことができるのかなと思いました。まずはアプローチを組むのに気をつけたけど、浮力を受ける面積が小さくなるのでテイクオフの時の私のバランスの悪さがさらに強調されて、空中で危ないジャンプになったりしたんです。それをわかったことが収穫だったし、直せたことで少し進歩できたと思います」

 それまでにも飛び出しのタイミングが遅れると、右のスキーが下がってしまう傾向があった。浮力をしっかり受けられるスーツなら多少のミスはカバーできるが、0㎝だと難しい。その原因は左右のバランスの悪さにあると考え、陸上トレーニングからそれを意識して修正することに集中した。

「陸上でのテイクオフのシミュレーションでできないことは、ジャンプ台でも絶対にできないと思うので。やっぱり木でもなんでも、根っこがもろい植物はすぐ抜けてしまうじゃないですか。それと同じようにセンスや技術を持っていても、体力や動きなどの基本がしっかりしていないとその強さは持続しない。小学生の時にお父さんからそう聞かされて心からそうだなと思ったから、それを大切にしているんです」

 そんな気持ちから、しっかりと踏み切りのタイミングや、体のバランスなどの弱点の修正に取り組んだ。その成果がサマーGPの第3戦と第4戦の優勝にもつながった。

「0㎝のスーツでしっかり飛べるようになったので、それが2㎝になればもっと楽になると思います。やっぱり冬のW杯初戦はヘンドリクソン選手など、多くの選手が集まって来ると思うから、そこで自分がどれくらいまでになったのかを確かめるのが、すごく楽しみです。それに女子ジャンプのレベルも今はどんどん上がっているので、そこにも注目してほしいです」

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