【カーリング】日本代表決定!
「男まさり」に生まれ変わった中部電力の絶対的強さ

  • 高野祐太●文 text by Takano Yuta
  • 中村博之●撮影 photo by Nakamura Hiroyuki

 バンクーバー五輪(2010年)の前年ごろから、世界のカーリングはパワーショットを必須とする時代に突入した。特に男子はその流れが顕著で、ダブルテイクアウト(相手の石を2個同時にはじき出すこと)や、ランバック(手前の障害になる石に当ててから、玉突きのように目標の相手の石をテイクアウトすること)などの高難度のショットも、パワーを求められるようになってきた。さらに力強いスイープ(ブラシで掃くこと)も勝敗を左右する重要な要素となり、現在、男子の『パワー』あふれるプレイスタイルが、世界のカーリングの主流となっている。

 中部電力が「マンリーカーリング」を掲げたのは、こうした世界の最先端に照準を合わせた意識があるからにほかならない。

 このキーワードを思い付くことになったキッカケがあったという。昨季のPACCで中国、韓国、そしてニュージーランドにも負け、最下位の4位に沈んだときだ。初めて日本代表として臨んだこの大会で、中部電力は心・技・体――どれを取っても世界レベルには及ばなかった。技術的なパワーだけでなく、精神面でも『男気のある』強さを維持することができず、藤澤は「精神的にどん底に落ちてしまった」と振り返る。

 だが、この経験が「チームを成長させる肥やしとなった」と、市川が言う。

「生活面から見直し、シンプルにゆとりのある規則正しい生活を心掛けました。昨季のPACCでは、1本ミスが出ると焦ってしまって、どんどんミスが連鎖する状態でした。しかし今は、ミスをしても試合中に考え、すぐに修正できるようになりました」

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