【カーリング】日本代表決定戦、中部電力・市川美余が女王の貫録を示せるか (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text&photo by Takeda Soichiro

 マイナースポーツだったカーリングだが、ソルトレイク、トリノ、バンクーバーの五輪を経て、その認知と注目度は増している。ソチ五輪出場を逃せばその灯は絶えてしまうかもしれない。そうした危機感さえ漂う中、5日間の代表決定戦ではどんな戦いが繰り広げられるのか、注目される。

「強さを証明したい」と意気込むのは、日本選手権覇者・中部電力のスキップを務める藤澤五月だ。中部電力はシーズンが始まると、6月には早くもハルピン(中国)の国際大会に出場し、優勝を飾った。その後も、夏の間は軽井沢町内の特設リンクでトレーニングを積み、日本屈指の練習量を消化してきた。

 さらに9月~10月にかけて、ノルウェー、カナダへと海外遠征を実施。エドモントン(カナダ)の大会では韓国のチームを決勝で下し、ワールド・カーリングツアー初優勝という快挙を果たした。主将の市川美余からは「経験と自信がついた」と充実感が漂う。

 日本選手権準優勝のロコ・ソラーレ北見は、今大会でリベンジに燃える。地元で短期合宿を重ね、体幹やフィジカルを中心に鍛えてきた。秋に入ってからは帯広や札幌のリンクでアイスに乗って、実戦練習も豊富にこなしている。

 だが、中部電力と比べるとアイス上で過ごす時間があまりに短い。ショットのつながりやラインコール(※ストーンのコースを指示すること)の精度に不安を残している。また、若いチームだけに勢いに乗れば面白いが、出鼻をくじかれると脆い。勝機を得るには、初戦の入り方が重要になってくるだろう。

 日本選手権3位と辛酸をなめたチーム青森も、決して万全とは言えない。今季始めに地元有力チームのスキップを務めていた齋藤菜月が加入し、新体制での強化を進めてきたが、山浦麻葉が腰痛でチームを離脱。急遽、石崎琴美-齋藤菜月-近江谷杏菜-青田しのぶの新布陣を形成せざるを得なくなった。

 それでも、抜群の安定感を誇る石崎と、柔軟なショットが持ち味の齋藤とのフロントラインは国内屈指。大崩れしないのがチーム青森の強みだけに、近江谷と青田までショットがうまくつながれば、王座復権も見えてくる。

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